「自傷行為=“かまってちゃん”アピール」ではない

想像したくないかもしれませんが、子どもは心に大きな痛みを感じたとき、自分の体を傷つけることでその痛みを克服しようとすることがあります。

「子どもの自傷」と聞くと、親として驚くのは当然ですし、わが子の自傷をイメージするだけでも耐えられないという方もいらっしゃると思います。そんな方にこそ、子どもがつらくなったときはいつでも手を差し伸べられるように、子どもの自傷について知っておいてほしいのです。

まず、みなさんは「自傷」についてどのようなイメージをお持ちでしょうか? もしかすると、「“かまってちゃん”(周囲の人の気を引くような言動を繰り返す人)のアピール的な行動」というイメージを持たれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。ですが、本当にアピールのための行動なのであれば、人通りの多い場所や、自分が大切だと思っている人の前でするはずです。

しゃがみ込む子どものイメージ
写真=iStock.com/takasuu
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子どもが傷跡を見せてきたらどう対応するか

しかし実際は、自傷する人の約9割が誰の目にも触れることなく、たったひとりで行っています。つまり、自傷はそのほとんどがアピールとしての行動ではないことをまず理解してください。人間関係でのつまずき、将来への不安、自分自身に対する不快感など、自分ではどうにもできない、強烈な不快感情に抵抗するための、孤独な対処法が自傷なのです。

では、子どもが自傷した傷跡を見せに来たとしたら、親としてどのような対応を取るのがよいのでしょうか? それは、「もうしないと約束しなさい」とその場で約束をさせることでも、「自分の体を大切にしなさい」と頭ごなしの説教をすることでもありません。大人にしてほしいのは、勇気を出して傷を見せてくれたその子に、「よく来てくれたね、傷を見せてくれてありがとう」と伝え、いたわることです。

そして、ていねいに傷を処置をしながら、その子が抱えている「目に見えない傷」に思いを馳せ、話を最後まで聞いてください。