「80%の力で100の結果を出すには」を考えさせる

私が無理に改革を進めようとすると先生へ過度な負担がかかってしまう可能性もあります。そこで先生方に力説しているのは、「現状では先生方は150%の力で働いており、その結果が100だとすると、100以上の結果を出すのは現実的に不可能です。この状況を変えるには、80%の力で100の結果を出せるように仕事のやり方を変えるしかない」ということです。

そうすれば100の結果を出しても20%の余裕があり、その20%の力を使って100以上の結果を出すことが可能になるのです。逆に、そうしない限り現状の100以上の結果は望めないどころか、結果が落ち込むかもしれません。

80%の力で100の結果を出すにはどうすればいいのか、どの無駄を省くのか、どのようにして効率化を実現するのかは、先生各自が自分の仕事を見つめ直して考え抜いてもらうことがとても大事です。併せて、教員の評価方法も改める必要があります。

現在の評価方式では効果的な評価は難しいと思うので、学校独自の評価シートが必要になります。例えば、それぞれの先生が各自で必要とする目標をいくつか設定して取り組んでもらい、どんな成果があったかで評価する方法です。

「どうすれば授業が面白くなるか」を考えてもらう

最近取り組み始めたことは、授業の在り方を変革することです。すべての先生に各授業における指導項目を整理し、パワーポイントにするようお願いしています。その内容は、①授業の前にその時間で学ぶことは何かを明確に示し、②それに従って授業を進め、③終了後に、学んだことは何かを確認してもらう――という3つのステップを踏むことにします。

また、黒板に向かってひたすら文字や図形を描いては消して授業するのではなく、効果的なツールや道具を考案したり、アプリを使うことを奨励し、授業を面白くしてほしいと思っています。

自宅から数学の授業をリモートで行う教師の女性
写真=iStock.com/MEDITERRANEAN
※写真はイメージです

2023年から教師の指導を生徒が評価する制度が始まっています。各教師には、生徒の評価を参考にして自分の教え方を再考、改善してもらいたいと思っています。

また、現在は校長1人が全ての教師を評価していますが、今後はITシステムを使って、教員の360度評価を導入したいと考えています。それは、校長自身も含めて、1人の教師を3人の教師が評価する方法です。誰が誰を評価するかは、適切なロジックを組んでITで公平に決めることになります。その成果をITで総合分析・評価もできるようにしたいと考えています。

私は現在、学校のITシステムの仕様書を書いていますが、それは学校の在り方、あるべき姿を書いているのです。生徒が入学し、その学力検査をして、適性検査、IQ検査、EQ検査をして、その結果に基づいて生徒をどのようにサポートするかを決められます。それをシステム化して学校のあるべき姿を目指すのです。