「正月太り」を解消するにはどうすればいいのか。医師の齋藤真理子さんは「カロリー制限や糖質制限が体に適さない人も多い。ラクして、健康的にダイエットするなら、MTCオイルを食事に取り入れて、勝手に内臓脂肪が落ちる『脂肪燃焼体質』に変えることが大切だ」という――。

※本稿は、齋藤真理子『「内臓脂肪がなかなか減らない!」という人でも 勝手に内臓脂肪が落ちていく食事術』(アスコム)の一部を再編集したものです。

太った腹を気にする男性
写真=iStock.com/kuppa_rock
※写真はイメージです

「正月太り」で増えた体脂肪を放置してはいけない

体重が増える、体に脂肪がつくといった「目に見える」肥満の症状は、実は氷山の一角であり、その裏では「目に見えない」とても重要な臓器に、大きな悪影響を与えてしまいます。

その重要な臓器とは「肝臓」です。

脂肪の中でも、内臓脂肪が多くなると、脂肪を蓄える機能を持つ脂肪細胞がパンパンに膨れます。この異常に膨れた状態になった脂肪細胞から、炎症性物質が放出されるようになるため、体の組織に炎症が起こります。

そのため、肝臓の細胞に内臓脂肪が蓄積する「脂肪肝」になってしまうと、肝臓が常に炎症を起こした状態になってしまうのです。

最近は新年会などでお酒を飲む機会も多いと思いますが、お酒だけでも肝臓を疲れさせている状態です。そこに内臓脂肪が増えることで、さらに肝臓を弱らせてしまっているのです。

肝臓が炎症を起こした状態だと、私たちの健康を保つための、次のような主な4つの働きが十分に果たせなくなってしまいます。

1 代謝(食事で摂った栄養を、体内の各器官に必要な形に変える)
2 エネルギーの貯蔵(体に必要なエネルギー源であるブドウ糖などを貯蔵する)
3 解毒(アルコール、食品添加物、アンモニアなど有害物質を分解して無毒化する)
4 胆汁の生成(脂質の消化吸収を助ける、肝臓で処理された不要物を排泄する、血液のコレステロール濃度を調整してくれる働きのある胆汁を作りだす)

さらに肝臓の炎症が進行することで、脂肪性肝炎、肝硬変、肝臓がんなど深刻な肝臓の病気にもつながります。

脂肪肝が全身に悪影響を及ぼす

また、脂肪肝になることで、肝臓に蓄積された中性脂肪が全身をめぐる血管にも流れ出てしまい、血管を狭めて詰まらせやすくします。その結果、果ては心筋梗塞や脳梗塞までも発症するリスクが高まってしまうのです。

脂肪肝が全身に及ぼす悪影響はこれだけではありません。体内には「副腎」という、各臓器や器官の炎症を鎮め、修復させる「ステロイド」という成分を生成する臓器があります。

このステロイドは、通常だと体内の各臓器で仲よく分けあって、体内の健康を保つために使うのですが、肝臓が炎症を起こしてしまうと、その炎症を抑えるためにステロイドが肝臓に優先的に使われてしまいます。その結果、ほかに修復が必要な臓器にステロイドが十分に回っていかない状態になるのです。