「脂肪燃焼体質」になるにはどうすればいいのか

このケトン体をエネルギーにすることを「脂質代謝」といい、糖質ではなくケトン体をエネルギー源にできている状態を「脂肪燃焼体質」といいます。

そもそも何億年前の太古の昔、人間の主食は肉であり、糖質はほとんど摂られていませんでした。それでも、狩猟などで激しく身体を動かしながら生活できていたのは、「脂肪燃焼体質」だったからです。

それが糖質をたくさん摂るようになり、主なエネルギー源が糖質になったため、糖質をエネルギーへと変える「糖質代謝」がメインになり、「脂質代謝」をほとんど行わなくなっていったのです。

つまり、人間の体には、内臓脂肪を減らしてエネルギーへと変える機能が太古より備わっており、その眠っている機能を呼び覚ませば、内臓脂肪が増えるリスクを減らすことができるのです。

極端なカロリー制限や糖質制限は逆効果

先ほど、糖質を極端に制限して、体内のエネルギー不足を起こすことによって、脂肪をケトン体に変えてエネルギーにする「脂質代謝」を呼び覚ますことができる、とご説明しました。少し前、「ケトジェニックダイエット」というダイエットが流行りましたが、これはその仕組みを利用したものになります。

ところが、この「ケトジェニックダイエット」は極端なカロリー制限や糖質制限を行うため、しっかりした栄養の知識や、食事の管理が不可欠でした。

さらに、免疫力の低下や空腹によるイライラなど、日常生活への不自由を感じやすく、一般の人が仕事をしながら長期的に続けるのは難しいのが現実。結果的に糖質制限ダイエット=リバウンドしやすいという研究結果もあります。

ダイエットのためにテーブルの上の食べ物を拒否する女性
写真=iStock.com/Farknot_Architect
※写真はイメージです

MCT(中鎖脂肪酸)オイルが基礎代謝を上げ、脂肪を減らしてくれる

そこで、オススメの食べ物があります。拙著『勝手に内臓脂肪が落ちていく食事術』でも痩せるメソッドの1つとして紹介している「MCTオイル」です。MCTと英語なので、ちょっとケミカルな感じがしますが、MCTは中鎖脂肪酸の英語名 Medium Chain Triglycerideの略称で、母乳や牛乳などの乳製品、さらにはココナッツなどのヤシ科植物の種実に含まれる成分です。この中鎖脂肪酸100%のものが、MCTオイルと呼ばれています。

本来であれば、ケトン体はブドウ糖が不足すると、代わりのエネルギーとして肝臓で生産されますが、MCTオイルは分子構造が小さいため体内で素早く消化され、ケトン体を作りやすくすることができます。

さらにMCTオイルで太古の眠りから覚まされた脂質代謝の機能(脂肪燃焼回路)は、体内の脂肪を使って、どんどんとケトン体を作るようになります。次の図は、MCTオイルとサラダ油を2週間小さじ1杯摂取することにより、体内でケトン体がどれだけ増えたのかを調べた研究結果を紹介しています。