子供との会話で気を付けるべきポイントは何か。コミュニケーションコンサルタントの吉原珠央さんは「大人の立場では理解できることでも、子供の立場から腑に落ちないことがある。そういう時は『受け止め』『状況把握』『ねぎらい』という3つのステップを踏むのがオススメだ」という――。

※本稿は、吉原珠央『シンプルだからうまくいく会話のデザイン』(ワニブックス)の一部を再編集したものです。

子どもの手を自分の手で包む母親
写真=iStock.com/fizkes
※写真はイメージです

宿題をやる理由は「みんなやるから」?

私たちが暮らしている社会では、当然のことながら、「しなければいけない」とされるルールや、約束事があります。

たとえば、交通規則や犯罪に関わるルールは、社会秩序や生命を守るためという意義があり、社会生活において欠かすことはできません。

それでは、別の視点で例を取り上げてみましょう。義務教育を受けている子供たちにとって「宿題をする」というルールはどうでしょう。

もし、「どうして宿題をやらなければいけないの?」と、小学生に聞かれたら、あなたはどのように答えますか? 仮に、以下のように答える人がいるとして、あなたが子供の立場だとしたら、どのように感じますか?

「どんな勉強もいつかは役に立つはずだからだよ」「先生が言うことは守らないといけないからだよ」「小学生は勉強をしないといけないからだよ」「みんなやるものでしょう」「義務教育だから仕方がない」「私だって大変な思いで、やってきたんだから」

学校に行くことは子供の義務ではない

いずれの内容も、大人の立場となると、つい言ってしまいそうなことですが、子供の立場に立ってみると、腑に落ちない場合が多いのではないでしょうか。

「仕方がない」「従うしかない」と言うばかりでは、相手に納得してもらえるような根拠を示していないことは明らかですよね。

また、教育基本法第5条によれば、義務教育とは親や保護者が、子供が学校に通えるようにする義務であり、子供が学校に行く義務ではないことがわかります。

大人になるにしたがい、私たちは、経験や知恵を身につけていきます。そうしたことで、「社会とはそういうものだ」と、折り合いをつけながら物事を判断するのが容易になり、悩み、葛藤する時間を省略できるようになっていくのかもしれません。