【記事:水俣病のように無視されてはいけない?…「あきたこまちR」の"風評加害"を煽る国会議員のあきれた言い分】はこちらから

社民党党首・福島みずほ参院議員が秋田県のコメの新品種「あきたこまちR」の安全性を問題視していることについて、ジャーナリストの山口亮子さんが福島氏の事務所に質問状を送付し、1月12日にメールで以下の回答を得た。なお、表記ゆれなどは原文のまま、質問文の挿入はプレジデントオンライン編集部による。

食べ物の安全は極めて重要なテーマです。

安全性が立証される必要があります。

また、予防原則も大事です。

水俣病のように、長い間因果関係が立証されていないとして無視され続けたため、甚大な被害が発生したことを考えれば、公害も食べ物の安全も、予防原則に立つべきだと考えます。

農水省との交渉で、「安全性は立証されていますか」と質問しても明確な答弁はありません。実証実験も何もなく、「安全だ」というのみで、安全性が立証されているという答弁はありませんでした。

食べ物の問題であり、しかも主食である米の問題ですから、問題点や疑問を指摘したり、議論していくことはとても重要だと考えています。

――①福島みずほ様はXで11月9日に「消費者の権利を守りたい!」、14日に「放射線育種米あきたこまちR何が問題なのかという集会に参加しました」と投稿されています。どのような意図での投稿なのか、「あきたこまちR」の何が問題なのか、お教えください。

全体での回答を読んでください。

――②放射線育種は50年以上使われており、梨の「ゴールド二十世紀」のように普及した品種もあります。その危険性を科学的に証明することは難しいはずです。それでも放射線育種を経て生まれた「あきたこまちR」を普及すべきではないとお考えなのでしょうか。そうであるならば、理由をお教えください。

「放射線育種は50年以上使われており」と書かれていますが、「あきたこまちR」は従来のガンマ線放射線を育種して作った品種ではありません。重イオンビームという放射線を当てた品種になります。

世界でIAEAに登録されている品種は3400品種を超しておりますが、重イオンビーム照射による品種はわずか26品種しかありません。これまで1990年代に一時、中国がこの技術を使って6品種を開発しましたが、1998年を最後に中国ではこの技術を使った新たな品種を登録していません。残りの20品種はいずれも日本で重イオンビームを照射したものとなります。実質、現在、この重イオンビームを使って、育種をしている国は世界で実質的に日本しかありません。

この重イオンビームと従来のガンマ線とはまったく異なる性質を持っています。ガンマ線は放射状に広がる電磁波であり、その電磁波を植物にあてるのですが、速度を変えることはできず、しかも広がってしまうために、これによって直接遺伝子が変異することは稀であり、むしろ、直接遺伝子に作用する以上に、植物の中で活性酸素を作り出し、そのフリーラジカルによって細胞が傷つく結果、変異が起きるケースがほとんどであると言われています。

そのため望む形質を作り出すことがとても難しく、世界では施設の老朽化によって、このガンマ線による放射線育種は実質終了しました。日本でも2022年に農水省のガンマルームが閉鎖され、ガンマ線による育種は日本でも終わっています。

これに対して重イオンビームは、電子を剥ぎ取ってイオン化した粒子を加速器を使って集中的にビーム上に放出するもので、ガンマ線とは比較にならないほどの力を狭いところに強くあてることができます。そのため、重イオンビームを照射されたわずかなところの遺伝子の二重鎖を効果的に破壊することができる方法です。

重イオンビームは遺伝子の二重鎖を直接切ってしまうため、そこではゲノム編集で指摘されているような遺伝子の大量欠損などの問題が起きることが指摘されています。

農水省からは、実証実験等の資料はいただけておらず、何度か意見交換の場を設けましたが、安全性について議論、検証したデータを示していただけませんでした。消費者の立場からすれば、とことん安全性の議論がされるべきです。

そして安全性の問題だけではありません。

重イオンビームによって遺伝子の1塩基を破壊してしまったことによって、この「コシヒカリ環1号」系品種は従来の品種に比べて、さまざまな属性においても劣っていることが報告されています。

たとえば宮城県では以下のように検討会で報告されています。

「どうしても出穂期に関しましては、同質系の品種と申しましても、似て非なるものということでズレてしまいます。また収量につきましても,カドミウムを吸わない遺伝子をのせると落ちてしまう傾向があります」(宮城県における審査

宮城県は秋田県よりも先行して、この「コシヒカリ環1号」と「ひとめぼれ」の交配種を2品種開発して、作付け開始間近と考えられていたのですが、「似て非なるもの」になる、収量も落ちてしまう、という事態を受けて、この品種の導入を中断しました。

このことも重要だと考えます。

「あきたこまちR」を必要としない地域の農家には従来の「あきたこまち」を選ぶ権利を保障すべきだと考えます。

また重イオンビーム育種の米か、そうでない米かを選ぶことは消費者にとって重要な権利であり、選択する権利を保障すべきであると考えます。

――③福島様も含む「あきたこまちR」への批判が、「風評加害」だとして批判されています。危険性を言い立てることで「あきたこまち」も含めて不買運動が起きたり、消費者の忌避感が高まりかねないためです。そのことをどのように受け止めていらっしゃいますか。

食べ物の安全について議論することはとても大事なことだと考えています。

議論も説明も不十分なままの現段階において、政府に安全性の根拠となるデータを提示させることや、生産者と消費者の選ぶ権利の保障を訴えることが「風評加害」と言われるのは本意ではありません。「風評加害」と言う言葉を盾に発言や議論をさせないことは、将来に禍根を作ると考えます。

多くの公害のケースで「風評加害」を理由に地元の人たちなどの発言を封じ、救済を遅らせた例は多いと考えます。

重イオンビームの安全性等については十分な議論が必要だと考えます。

――④コメに含まれるカドミウムの濃度を飛躍的に下げられるという「あきたこまちR」の利点について、どのようにお考えですか。

カドミウム汚染対策は必要です。

そのためにまず土壌汚染を解決することが必要です。

そのことは十分なされていないと考えます。

――⑤秋田県をはじめ、全国にはコメに基準値以上のカドミウムが含まれないよう対策を施さなければならない地域があります。そうした地域で、行政や農家がカドミウムの濃度を下げるために努力していることを、どのように考えていらっしゃいますか。

秋田県をはじめさまざまな地域でカドミウムを減らすための努力がなされていることはもちろん承知しています。

鉱毒の被害を根本的に解決してこなかった企業などの責任は大きいと考えます。

まず、高汚染地域の汚染をなくすことが必要です。

農水省はこれまで水田の水稲だけを問題にしており、他の作物と畑はまったく対応をしていません。米にカドミウムが入らなければいいという問題ではなく、土壌そのものの改良も含めた長期的な戦略が必要です。

――⑥「あきたこまちR」の騒動を受けて、その親となった種「コシヒカリ環1号」の導入を検討していた兵庫県では、その動きが滞っていると聞いています。このことをどのようにお考えですか。

兵庫県では兵庫県の出した方針(「コシヒカリ環1号」を[コシヒカリ」品種群として一括すること)に対して、複数の農産物検査団体が納得していないため、止まっているという話であり、「あきたこまちR」の問題のために止まったわけではありません。

逆に兵庫県では承認されていないものを秋田県で承認してしまった、ということが秋田県で問題になったのであり、順序が逆です。

――⑦秋田県による種子の供給へのお考えを教えてください。県は種の供給を「あきたこまちR」に一本化するとしています。理由は、従来の「あきたこまち」とのコンタミネーション(混入)を恐れるからです。それでも二種類の種を供給すべきとお考えでしょうか。

一本化することには問題があると考えます。

農水省いわく、秋田県の農家は、「あきたこまちR」の種しか入手できず「あきたこまち」の種が欲しければ他県から個人的に入手するしかないとのことです。それは実際には困難が伴うでしょう。わざわざなぜ「あきたこまち」の種を他県から購入しなければならないのでしょう。

従来の「あきたこまち」は誰もが自家採種して自由に栽培できる品種でしたが、「あきたこまちR」は特許料、品種許諾料を支払わない限り、栽培できないお米になります。負担は高く、収穫量が少ないのですから、農家にとっては不利な品種となります。

「あきたこまちR」を必要としない地域の農家には従来の「あきたこまち」を選ぶ権利を保障すべきだと考えます。

それでも高カドミウム汚染地域では望まれる品種になるかもしれません。その栽培にまで異論を唱えるものではありませんが、農水省からは、県内で「あきたこまち」と「あきたこまちR」の両方を生産すると「あきたこまちR」を生産する地域の風評被害になるから、全量転換をすると聞いています。また、混入する可能性があるから「あきたこまちR」しか選べないようにするというのも乱暴な議論ではないでしょうか。高カドミウムでない地域の農家まで強制することは大きな問題だと考えます。

「あきたこまちR」を必要としない地域の農家には従来の「あきたこまち」を選ぶ権利を保障すべきです。

「あきたこまち」を作りたい農家も支えていく必要があります。

また、消費者が「あきたこまち」か「あきたこまちR」を選ぶことができることも消費者の大事な権利です。

安全性を実証するデータを示さず、生産者の選ぶ権利、消費者の選ぶ権利が保障されないことは問題だと考えています。

――⑧「あきたこまちR」への反対は、社民党としての方針でしょうか。

(回答なし)

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