リテールメディア市場の将来性を占う試金石
専門部署を設置した22年9月以降は、広告商品をパッケージ化。自社だけでなく、広告代理店などを通じて販売し始めた。広告商品は一般的なデジタル広告と同様、CPMで販売する。ただし、現段階ではパッケージ商品を広く販売しているわけではない。そのパッケージ商品をベースに、出稿主の目的、購買データを活用した広告配信対象者の絞り込み、1人当たりの広告表示回数の制限などを加味して、一社ごとに適したプランニングを提案しているという。
「営業しやすいようなパッケージ商品はつくったものの、メーカーのマーケティング課題に合わせて、カスタマイズして提供している。当社もまだ学習段階だ。取り組みを通じて、メーカーがどのような悩みを抱えているのかを教えてもらいながら、パッケージ商品の改善を続けている」と杉浦氏は慎重な姿勢である理由を説明する。
セブン‐イレブン・ジャパンのリテールメディア事業は離陸したばかりだ。今後、アドサーバーの導入に合わせて、メーカーが使いやすいサービスへと改善を続ける。杉浦氏は「リテールメディアはメーカー、小売り、顧客のそれぞれにメリットがある可能性を持った事業だと思っている」と言う。小売りの巨人であるセブン‐イレブン・ジャパンのリテールメディアの成否が、日本のリテールメディア市場の将来性をも占う試金石になるやもしれない。