携帯端末で電子書籍や音楽を楽しむ人が増えている。同じ作品をダウンロードするのに消費税課税と消費税非課税の店があったとしたら、あなたはどちらを選ぶだろうか。
国内で商品を購入したり、サービスを受けた際には消費税がかかる。これは電子書籍などをダウンロードする場合も同じだが、海外からダウンロードすれば、現状、消費税がかからない。1000円の買い物をした場合、国内で買えば税込み1050円のところ、海外から買えば1000円で済むのだ。
現在、国内外の複数の企業が電子書籍への参入を予定しており、とくに米アマゾン・ドット・コムが販売予定の電子書籍端末「キンドル」は注目度も高い。配信サービスを利用する人が増えれば市場も拡大するが、海外配信の優位性が認識されれば、国内企業はビジネスチャンスを逃すことにもなりかねない。消費税率が引き上げられると、さらに非課税の強みが増し、国内企業は競争力がない状態に陥るといっても過言ではない。
ところで、消費税の会計処理についてご存じだろうか。
事業者は「税込み方式」か「税抜き方式」のいずれかで会計処理を行う。ここでは一般的な税抜き方式について解説しておこう。税抜き方式は取引で得た対価と消費税を区別する方式だ。
まず仕入れの際だが、たとえば1000円で部品を仕入れる場合、消費税を50円負担する。仕訳では借方に「仕入れ1000円」「仮払消費税50円」を記載し、貸方には「現金1050円」と書き入れる。仕入れは先々の商取引のために行ったものであり、仕入れにかかった消費税はあくまで「仮払い」として扱うのである。
加工を経て3000円で販売すると、取引相手から150円の消費税を受け取ることになる。これは「仮受消費税」として扱う。仕訳の借方には「現金3150円」、貸方には「売り上げ3000円」「仮受消費税150円」と記載する。