企業の業績は「粗利益(売上総利益)」「営業利益」「経常利益」「純利益」という4つの数値で語られることが多い。しかし、混同している人が多く、今回はそれぞれが示す内容と見方を整理してみたい。

まず、売り上げから製造関係の材料費・人件費・諸経費などを含めた製造原価を引いたのが粗利益。ここから営業マンの人件費や広告宣伝費などの販売管理費を引くと営業利益になる。その営業利益から借入金の金利負担や有価証券の損益を反映したものが経常利益。さらに、そこから特別利益や特別損失を加除したものが純利益である。

最初の粗利益は販売管理費を考慮していないため、製品そのものの魅力を示す数値と位置付けられる。1400億円の売り上げで400億円の粗利益を出すよりも、1000億円の売り上げで400億円の粗利益が出ているほうが“効率よく稼げる製品”で、開発力やコスト管理力が強く、製品に競争力があるとみなされる。製造現場で働く人は、「粗利益」を意識して仕事をすることが重要になる。

一方、すべてのビジネスマンが重視すべきなのが、粗利益から販売管理費を引いた営業利益である。これは金利負担や税金などの影響を受けておらず、純粋な本業の実力を示した数値といえる。企業の稼ぐ力、収益力を測るデータといってもよい。

売り上げに対する営業利益の割合を「営業利益率」というが、これはおおむね5%程度が標準となっている。同じように売り上げに対する粗利益の割合である「粗利益率」は飲食業で70%、卸売りでは20%など、業界ごとにかなり差があるが、粗利益が高い業種は販売管理費の割合が大きい傾向が強く、営業利益率はどの業界も5%程度に集約される。つまり営業利益率を用いれば、業界を超えて企業の実力を確認できるのだ。