認知症に処方される「抑肝散」に注意

甘草を含む漢方薬は、天然のステロイドであるコルチゾールを介した副作用を持っています。とすれば、漢方薬の「効果」も、コルチゾールによる部分があるのではないでしょうか?

ステロイド薬はいろいろな病気や症状に使われる、とても便利でよく効く薬です。ステロイドは炎症を抑え、熱や痛み、アレルギー反応をやわらげます。なんとなく、漢方薬が出される症状に似ている気もします。

皮膚炎で赤くなっている人の腕
写真=iStock.com/tylim
ステロイドは炎症を抑え、熱や痛み、アレルギー反応をやわらげる(※写真はイメージです)

甘草を含む漢方薬の公式説明文書(添付文書やインタビューフォーム)には、必ず、グリチルリチン酸が含まれること、偽アルドステロン症に注意すべきことが書かれています。

偽アルドステロン症を起こす漢方薬としてよく目にするのは「抑肝散よくかんさん」です。

抑肝散は、認知症による興奮を抑えると信じられているようです。ただ、これは臨床試験のエビデンスに基づいて承認された効能ではありません。1967年と1976年に多くの漢方薬製剤が臨床試験なしで薬価収載されたため、漢方薬について知るには臨床試験を頼りにできません。

個人的経験ですが、あるときカリウムの異常値を見つけてこれは抑肝散のせいだと思い、処方した精神科医に「抑肝散を中止できませんか?」と尋ねましたが、「カリウムを補充して続けてください」と言われたことがあります。

下剤として使われる「大黄」の副作用

たいていの薬は服用をやめると効果がなくなります。

ただ、中には急にやめると困ったことになる薬もあります。ステロイド薬はその代表です。

漢方薬の中にも、しくみは違いますが、長く続けるとなかなかやめられなくなるものがあります。

代表的なものが、排便を促す作用のある「大黄だいおう」を含む処方です(排便のための漢方薬には大黄を含まないものもあります)。

大黄の有効成分はセンノシドという物質です。いろいろな植物がセンノシドを含んでいて、西洋でも伝統的に下剤として使われてきました。いまでもセンノシド製剤のアローゼン、プルゼニド、ピムロなどがよく処方されています。