申告し忘れの多い4つの控除とは

年末調整で申告し忘れが多い4つの控除を紹介します。どれくらい税金を安くできるのかの金額も併せて紹介します。

所得税を計算するにあたり、前提条件は以下のとおりです。

・年齢50歳、東京都在住、健保加入
・年収1000万円(収入は全て給与収入、賞与なし)
・給与所得控除195万円、基礎控除48万円、社会保険料控除136万円
・課税所得は1000万円-195万円-48万円-136万円=621万円
・所得税は621万円×20%-42万7500円=81万4500円(復興特別所得税は考慮せず)
① 配偶者が産休・育休を取得した……配偶者控除・配偶者特別控除

所得控除を受ける人が合計所得金額1000万円以下である上で、配偶者の所得が48万円以下の場合に「配偶者控除」、48万円超133万円以下の場合に「配偶者特別控除」が受けられます。

共働き世帯の場合、お互いに収入があるのでこれらの控除が適用されず、普段意識することもないと思いますが、夫または妻が産休・育休を取得した場合、相手方の収入が少なくなり配偶者控除や配偶者特別控除の対象になる場合があります。

産休・育休を取得したという場合には、対象になっていないかチェックしましょう。

仮に配偶者控除の対象になった場合、課税所得は583万円になります。所得税は73万8500円となり、7万6000円の所得税が減らせます。

節税できる金額は、所得税率×控除金額で簡易的に計算が可能で、この場合、20%×38万円=7万6000円と計算できます。

年末調整ではこの金額が還付されます。

パソコンで仕事をする妊婦
写真=iStock.com/shutter_m
※写真はイメージです
② 扶養親族が増えた(父母・祖父母など)……扶養控除

16歳以上の扶養親族がいる場合には「扶養控除」の対象になります。

16歳以上ならば「38万円」、19歳以上23歳未満の特定扶養親族ならば「63万円」の控除が受けられます。高校生や大学生の子供を養っている場合は、この扶養控除の申告を忘れることはないでしょう。

ただ、同居していない父、母、祖父、祖母などに仕送りしている場合に、「48万円」の控除が受けられる条件を満たしているにもかかわらず、申請していない人が意外と多くいます。

一緒に住んでいないと扶養控除が適用できないと思っている人が多いのかもしれません。

生計を一にしていて普段同居しているなど、条件を満たせば10万円が上乗せされて「58万円」の控除が受けられます。日常的に同居していることが基本的な要件ですが、たとえば、長期で入院している場合なども適用になります。

仮に扶養控除48万円の対象になった場合、課税所得は573万円になります。

所得税は71万8500円となり、9万6000円の所得税が減らせます。年末調整ではこの金額が還付されます。