独統計会社スタティスタによると、92年にはわずか4.38%だった中国経済のシェアは2021年に18.51%に達した。昨年は18.44%と高度成長期以降初めて減少に転じたものの、米国の15.57%を上回る。スタティスタは中国経済の世界シェアは今年以降、上昇基調に戻り、24~28年にかけて19%台で横ばい状態になると予測。一方、米国経済のシェアは縮小が続く。

英紙フィナンシャル・タイムズの編集者ルチール・シャルマー氏は自身のコラム(19日付)で「世界経済における中国のシェアは名目ドルベースでこの2年で1.4%減少した。1960年代以降最大の減少だ。歴史的な転機として経済大国・中国の台頭が逆回転しつつある。過去半世紀で最大のグローバル・ストーリーは終わったのかもしれない」と指摘する。

英紙「今はポスト中国の世界」

スタティスタは「購買力」、シャルマー氏は「名目」でみているので注意は必要だが、シャルマー氏は「中国は世界のGDPに占める割合がピークの3分の1を占めていた16~19世紀初頭にかけての帝国の地位を取り戻すことを目指しているが、その目標には手が届かないのかもしれない。中国の衰退は世界を再編成する可能性がある」という。

シャルマー氏によると、世界経済は22~23年に80億ドル成長したが、このうち中国が占める割合はゼロ。米国が45%、インド、インドネシア、メキシコ、ブラジル、ポーランドなどの新興国が50%だ。習氏が今さらバイデン氏や米経営者にすり寄っても「世界経済における中国のシェアは当分の間低下していくだろう。今はポスト中国の世界だ」という。

英国統治下の香港で最後の総督を務めた英オックスフォード大学名誉総長クリス・パッテン氏が10月4日、ロンドンのリージェンツ・ユニバーシティー・ロンドンで講演し、「中国経済はピークを過ぎ、成長率は年8~9%から2%に低下、人口は高齢化し、GDPの3倍を超える国内債務を抱えるなど大きな問題を抱えている」と指摘した。

英保守党幹事長だったパッテン氏は92年の英総選挙で保守党を勝利させたものの、自らは落選。その年から97年に中国に返還されるまで香港総督を務めた。パッテン氏は「香港総督になってから15年で中国の対米国輸出は1600%も増えた」「中国共産党を相手にするのはあまり快適ではなかった」と語る。