退職は「64歳11カ月」がベストタイミング

失業手当が受け取れるのは64歳まで。65歳からは失業手当ではなく、高年齢求職者給付金がもらえます。しかし、失業手当は最長240日分受け取れるのに対し、高年齢求職者給付金は30日または50日分しか受け取れません。つまり、失業手当を受け取ったほうが有利なのです。

失業手当を受け取るには、65歳になるまでに退職すればいいのですが、特別支給の老齢厚生年金をもらう場合や、老齢年金の繰り上げ受給をする場合には、失業手当の手続きをすると老齢年金の支給が停止されてしまいます。したがって、「64歳11カ月」に退職するのがベストタイミングです。

ただし、法律では誕生日の前日に年齢が上がるルール。「64歳で退職した」とするなら誕生日の前々日までに退職しないといけない点に注意しましょう。また、会社によっては65歳を待たずに退職することで退職金や賞与が少なくなってしまうことがあるので、事前に会社に確認しておきましょう。

公共職業訓練を受ければ失業手当を長く受け取れる

再就職のためにスキルアップしたい場合に役立つのが職業訓練です。失業手当を受給している人は、公共職業訓練を受けることができます。

公共職業訓練の科目は情報処理、建築、電気、Webデザインなどさまざま。受講期間はおおむね3カ月から2年となっています。受講料は無料(別途教材費など、実費負担あり)。自費で専門学校に通うより費用負担が少なくて済みます。

記入書類の指摘を受けているシニアの手元
写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです

公共職業訓練のメリットで大きいのが、失業手当がもらえる期間が延長されることです。60歳以上65歳未満の場合、失業手当の給付日数は90~240日(雇用保険の被保険者期間により異なる)ですが、公共職業訓練を受けている間は、その訓練終了日まで失業手当の支給が延長されます。

また、公共職業訓練では1日500円(上限2万円)がもらえる「受講手当」、最高4万2500円がもらえる「通所手当」、月額1万700円がもらえる「寄宿手当」など、金銭的なサポートを受けつつスキルが身につけられます。