なぜ給食の飲み物は牛乳なのか。管理栄養士の松丸奨さんは「文部科学省が定める『学校給食摂取基準』のカルシウム基準値を満たすためには、どうしても牛乳を添える必要がある」という――。(第2回)

※本稿は、松丸奨『給食の謎』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。

牛乳
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「献立作りのルール」に書かれていること

献立の根拠となるルールとして、文部科学省が定める「学校給食摂取基準」があります。厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準」の基準値を参考に作成されたものです。

「学校給食摂取基準」は「学校給食実施基準」の一部であり、その「学校給食実施基準」に従いなさい、ということが学校給食法の第八条に書かれています。ちょっとややこしいですね。

第八条(中略)2 学校給食を実施する義務教育諸学校の設置者は、学校給食実施基準に照らして適切な学校給食の実施に努めるものとする。 「学校給食法」

ただし、「学校給食摂取基準」の値は絶対にこの通りにしなさいというものではなく、あくまで目安として、自治体ごとに弾力的な運用をしてよいということになっています。

献立作成に大きく関連するルールはほかにもあります。たとえば、令和3(2021)年2月に通知された「学校給食実施基準の一部改正について」では、このようなことが書かれています。

各地域の実情や家庭における食生活の実態把握の上、日本型食生活の実践、我が国の伝統的な食文化の継承について十分配慮すること。さらに、「食事状況調査」の結果によれば、学校給食のない日はカルシウム不足が顕著であり、カルシウム摂取に効果的である牛乳等についての使用に配慮すること。 「学校給食実施基準の一部改正について」文部科学省(令和3年2月12日)

つまり、「和食の献立をしっかり続けていくように」ということです。栄養価や食品摂取量が完璧でも、洋風や中華風の献立ばかりに偏らないよう気を遣わなければなりません。