「手を切り落とされても文句は言えない」

首都圏で活動する指定暴力団古参幹部「もし自分の親分の女に手を出したら大変なことだ。指を詰める程度で済むわけがない。昔だったら、殺されてもおかしくないだろう。手を出したのだから、その手を切り落とされても文句は言えない。最近はそこまでのことはしないが……。

拳銃をめぐる事件があり、兄貴分が、『(組織のために)警察に出頭しろ』と弟分に命じたため、逮捕され刑務所で服役することになった。ところが、しばらくすると兄貴分と(服役中の)弟分の女がデキてしまった。懲役に行っている間に、だ。あまりに理不尽だが、たまにはある話とも言える。刑期を終えた後、事実関係を知らされた弟分は(組織に)戻ってこなかった。」

暴力団犯罪捜査のキャリアが長い警察当局の捜査幹部OB「かなり前のことだが、ある組織の兄貴分のヤクザが、弟分である舎弟の左手を別の若い者に押さえつけさせて、親指を除く人差し指から小指までの4本をすべてナタで切り落としてしまった。

兄貴分がある事件で逮捕されて刑務所に長期間にわたり服役している間に弟分が兄貴分の女に手を出して、いい仲になってしまった。兄貴分が刑務所から出所してきてしばらくしたら、その関係がバレた。そのケジメをつけさせたということだった。現在だったら傷害事件として警察の捜査対象になるだろう。」

ナタを握っている男の手の影
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引退後の親分はなぜストーカーになったのか

2021年2月には、熊本県八代市のアパートの玄関前で41歳の女性が刃物で刺されて殺害されているのが発見された。女性は首や腹などに刺し傷が確認され、大量に出血していた。腕には刃物から身を守ろうと抵抗した際にできる防御創があった。熊本県警は殺人事件として捜査、アパート近くの防犯カメラに映っていた男の行方を追っていた。

事件の発生から2日後、アパートから約1キロ離れた山中で、カメラに映っていたのと似た男が首を吊って死亡しているのが発見された。その後の調べで、自殺した男は同市に住む元山口組系組長(71歳)であることが判明する。女性は生前、知人に「昨年秋ごろから付きまとわれている」と話しており、組長がストーカー行為に及んでいたと見られる。

男は六代目山口組の直参じきさんと呼ばれる直系組長だったが、2008年10月に絶縁処分となり引退していた。

指定暴力団幹部「山口組で直参といえば内部ではプラチナと呼ばれる特別な存在。それだけシノギもあっただろう。しかし、ヤクザというものは辞めてしまえばただの人。収入は格段に少なくなる。極端な場合はまったくカネがなくなることもある。今回の事件の女性との関係は分からないが、引退した後は失うものばかりだったのかもしれない。」

殺害された女性には、幼い二人の子供がいた。なんの落ち度もない女性を道連れにしたのだ。