西側には窓をつけない

間違った断熱性の追求による悲劇をお伝えしましたが、みなさんを恐怖にさらそうとしているわけではありません。住まいはさまざまな要因によって変化し、私たちはそこで生活していることを認識してほしいだけです。

日射もそのひとつ。家には日射を防ぐためにひさしがありますよね。サンシェードやすだれで日射を防ぐ方法もあります。

あとは窓が重要です。窓が大きければ室内にダイレクトに日射が入ってきます。明るい部屋にできたとしても、夏場は日射で暑くなってしまうのです。その場合、小さな窓にして光だけを取り入れる設計にするのが有効。

また西側に窓をつけないことも対策です。建物が熱せられた状態で、さらに西日が入ってくると室温を下げるのにエアコンのエネルギー量が増します。

断熱材は、厚く高性能なものを1枚だけでいい

気温も室温と関係してきますが、日射、気温の影響を防ぐには断熱材を厚く、性能のよいものにすることです。断熱材の性能と壁構造が湿気対策にも関係することは先に述べたとおり。冬場は室内の湿気が外に出てしまいますが、室内から外に出したいのは湿気ではありません。臭いや化学物質などです。

夏場は内部発熱を考慮しなければなりません。冷蔵庫、テレビ、パソコンなどの家電から熱が出ています。さらに人間からも熱が発せられています。成人だと100Wくらいの熱量を発しています。狭い空間に大勢が集まって暑く感じた経験があるでしょう。

室内は断熱材の内部です。なにも対処しなければ内部発熱は室内にこもったまま。熱を外に逃す換気が必要です。

平松明展『住まい大全 ずっと快適な家の選び方、つくり方、暮らし方』(KADOKAWA)
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温度の高い空気は上昇するので、窓を高い位置につけて熱気を排出する方法もあります。

最も有効なのが、やはりWB工法。湿気を外に出す構図と同じです。二重構造の通気層があるわけですから、自然に室内の熱量を外に排出できるわけです。

これは臭いにおいても同様。先述の「⑤空気が悪くなる」のところで解説したとおりです。WB工法はこうした空気の流れもよくでき、「形状記憶式自動開閉装置」で温度を感知し、換気口を自動的に開閉できるわけですから、室内の空気も常にきれいなんですよね。

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