上戸彩さんを悩ませる子供のお弁当
年末年始の予定は、決まっただろうか。
家族が集まる機会の多い、この季節、せっかくだから、と、手作り料理に精を出す人も多いのかもしれない。
まとまった休みだけではなく、「手作りこそ良い」という圧力は、普段の生活のほうが強い。
とりわけ、子どものお弁当についてである。
子どものお弁当作りに頭を悩ませている親は少なくない。
栄養バランス、好き嫌い、分量だけではない。
インスタをはじめとするSNSで見栄えが良いような飾り付けまで求められる。
それが、いまのお弁当作りだからである。
女優の上戸彩さんは、今年2月に出演したテレビ番組「櫻井・有吉 THE夜会」(TBS系)で子どものお弁当作りについて「緊張で眠れなくないですか? 明日どうしようかと思って」「(学校の)先生に見られているんだよなぁというのも気にしている」と明かしている。
職業が女優であれ何であれ、2人の子どもを抱える親を不眠に追い込むほどのプレッシャーを与える理由は、どこにあるのか。
「父親のお弁当作り」が注目を集めている
「お弁当は手作りでなくてはならない」
こうした空気は、昔からあったし、昔のほうが当たり前とされていたのかもしれない。
近年、この雰囲気が強まっているように感じる理由、とりわけ母親がそう感じる背景には、「父親」の活躍があるのではないか。
たとえば、ヒップホップグループTOKYO No.1 SOUL SETのギタリスト渡辺俊美氏による『461個の弁当は、親父と息子の男の約束。』が挙げられる。
渡辺氏が離婚した後に、3年間、一人息子が高校に通う際のお弁当=461個を作り続け、それをTwitter(現X)に写真やレシピなどとともにアップした。
マガジンハウスから単行本に、翌年にはNHKでのドラマ、その6年後の2020年には井ノ原快彦氏の主演で映画化されている。
お弁当作りに慣れていくプロセスだけではなく、父親と息子の心あたたまる交流の記録でもあり、離婚を悲しいと感じさせず、また逆に、汗と涙の結晶といった押し付けがましさもない。
淡々としつつ、でも、愛情が込められている。飄々としたタッチが、多くの読者の共感を呼んだ。
こうした、一見すると軽い感じが、特に母親にとっての「圧」になっているのではないか。