数値化が「再現性」を担保する

そしてその「再現性」を担保するのが、数値化になります。

営業:「今月の受注が少なかったのは、『電話』の件数が不足していたからだ」

人事:「一次面接から二次面接への転換率が落ちている。この段階での求職者へのアトラクトに問題があるんだ」

数値化できていれば、このように、「仕事の成果」と「プロセス(行動)」との間の因果関係を明らかにすることができます。因果関係を明らかにできている人であれば、短期的に結果が出ない場合でもすぐ行動変容をすることによって、改善できると予測することが可能です。

スマートフォンを使うビジネスマンの手
写真=iStock.com/mapo
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このように、数値化をして客観的に因果関係を把握できることから、すべての行動に根拠を持つことができます。この状態で行動していれば、たとえば不意に上司から「今、なぜその作業をしているのか?」と尋ねられても即答できます。

数値を示して回答すれば、説得力もあり、「仕事ができるな」と思わせることができます。このように、目標の達成に向けて、ロジックを持ち、行動変容をした結果、継続的に結果を出していく人こそが、本当の意味での「仕事ができる人」なのです。

数値化したほうがストレスを軽減できる

一般的に、「数字」と聞くと、「ストレスがかかるもの」と認識されています。しかし、このように、「行動」を数値化し、因果関係を明らかにすることは、実は努力の仕方を明確にすることになりますから、仕事の無駄を削減して、逆にストレスを軽減することにつながります。

“キーエンスの数値化”では「行動」を数値化することで、仕事の成果が伸び悩む原因であるボトルネックを明らかにします。ボトルネックを明らかにすることで、努力すべきプロセスが明らかになり、努力目標が数値として明らかになります。

このことは、仕事をする上でメンタルにとっても、とても大きなメリットがあります。というのも、人というのは明確な目標がないままに漠然と量を増やすことには意欲を持ちにくいためです。

営業担当者に、「もっとアポを取りなさい」と漠然とした指導をしても、それは「頑張れ」といった無責任な根性論になってしまいます。自ら「もっとアポを増やさないといけないな」と思っても同様です。