「身近な人の死」とどう向き合えばいいのか。映画プロデューサーの叶井俊太郎さんと、スタジオジブリの鈴木敏夫さん他との対談集『エンドロール! 末期がんになった叶井俊太郎と、文化人15人の“余命半年”論』(サイゾー)より一部を紹介しよう――。
「膵臓がんで余命半年」叶井俊太郎に、鈴木敏夫が贈る言葉
【鈴木敏夫(以下、鈴木)】叶井も、もうちょっと生きるんじゃない?
【叶井俊太郎(以下、叶井)】そこは分からないですね。膵臓がんはいちばん治らないっていうじゃないですか。オレはもう抗がん剤治療もしてないんですよ。
【鈴木】あぁ、僕の中学以来の友達も膵臓がんなんだけど、やっぱり抗がん剤治療はしてないと言ってたね。もうしんどいのは嫌だってことで、治療拒否したみたい。
【叶井】これも個人差あるけど、ほとんど寝たきりになっちゃうんですよね。
「僕自身も4歳で死にかけているし」
【鈴木】今、僕の周りはがんだらけなんですよ。膵臓がんがもう一人いて、食道がんも一人いて。でも年を取ったからってわけじゃなくて、僕の妹は若くして病気で死んじゃったし、ひとつ上の親友も若い頃に自殺してしまって、わりと昔から死が周辺にあったんだよね。僕自身も4歳で死にかけているし。
【叶井】そうなんですか。鈴木さんの周りに死があるようなイメージは、まったくないですね。
【鈴木】実はそうなんだよ。4歳のときに大腸カタルになったの。医者の先生が「親戚の方を集めてください」と宣告して、これはもうダメだ、と。親父の故郷に行っていたときで、親戚が全員集まったの。
【叶井】じゃあ、お父さんお母さんも覚悟していたんですね。