一般的なうつ病の治療が効かない人が改善している

でも髪の毛の薄いことに悩んでいる人がカツラをつけてしまえば、悩みは消えるはずです。ところが身近な人にはすぐにバレてしまいます。すると恥ずかしいのです。「そこまでやるのか」「かえって不自然だ」といった陰口が聞こえてくるからです。

でもホルモン補充療法というのは、うつ病のような心の病には非常に効果的な方法だということがわかっています。実際、一般的なうつ病の治療では効果が見られない人にホルモン補充療法を行うと目に見えて良化する例が多いのです。

現在の日本では、主に泌尿器科や男性更年期外来でこの治療法を受けることができますが、対応できる医療機関はまだ限られていますから下調べが必要です。「いざとなったら」という気持ちで頭に留め置いてください。

海馬を元気に保てば、加齢による性ホルモン低下を防げる

性ホルモンは従来の理論では精巣(男性ホルモン)や卵巣(女性ホルモン)で作られ、血液によって脳に運ばれると考えられてきました。

ところが最近の研究では、脳の中の海馬と呼ばれる場所でも独自に合成され、しかもその濃度は血液で運ばれてくる性ホルモンより10倍も高濃度ということがわかってきました。

つまり海馬を元気に保ってその分泌を促せば、加齢による性ホルモンの低下を防ぐことができるということになります。

手のひらの上に脳のイラスト
写真=iStock.com/mi-viri
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ご存じのように海馬は記憶をつかさどる器官ですが、わりと簡単に活性化することができます。ポイントは「快体験」です。

たとえば百マス計算やパズルのような単純なゲームでも、「できた!」「速くなった!」という快体験を伴うと海馬は活性化されます。じつは感情とホルモンは強く結びついていて、快感が得られればエストロゲン(女性ホルモン)が出るし、「さあ、やるぞ!」と意欲が湧いてくるとテストステロン(男性ホルモン)が出ます。さらにいえば満足感はセロトニン、意欲はドーパミンの分泌も促します。