アベレージパフォーマーほど焦って返答する

たとえば「10年後、担当されている事業はどのような状態にあると思いますか?」という質問に対し、きちんと整理された形で即答できる人はそうはいません。

アベレージパフォーマーの多くは、何かしら焦っており、即答できる質問でないにもかかわらず、即座に曖昧な回答を返したり、ごく一般的な言説を述べて終わったりします。

たとえば「今よりもさらにシェアを拡大し、競争力も増していると思います」とか、「激しいグローバル競争の中で、厳しい戦いを強いられていると思います」などです。

一方で、ハイパフォーマーの多くは質問に対して「なるほど」などと言っていったん受け止めて、しばし考えてから地に足の着いた回答をされます。

「環境変化の中で最も読みづらい点は……であって、そうした中でも確実に言えることとしては、我々がもし……という戦略をとったならば、……となっている可能性が高いであろうということです」など、きちんと考えているがゆえの具体性があるのです。

そうした所作からは自信と余裕が感じられます。

自分を実力以上に優秀に見せたがる

アベレージパフォーマーとしては、どうやら「質問に対しては即座に明確に答えなければならない」などの強迫観念のようなものを持たれている人が多いということでした。

それゆえ、「答えられそうにない難しいことを聞かれたらどうしよう」との恐れがあり、浮足立っているわけです。

その裏には、自分を実力以上に優秀に見せたいとの思いがあるのかもしれません。

親指を立てる人のイメージ
写真=iStock.com/frema
自分を実力以上に優秀に見せたがる(※写真はイメージです)

一方で、ハイパフォーマーは「自分に答えられないことは他の誰に聞いても答えられないだろう」というくらいの自信があるのです。

「どんなことでも聞いてくれ」というような余裕が感じられるわけです。

むしろ、いろいろと難しい質問をされることを楽しんでいる様子すら見受けられるものです。

ハイパフォーマーがなぜ即答しないのかと言えば、難しい質問に対してそれなりに時間をかけて考えてから回答するからに他なりません。

余裕を見せるためにあえてゆっくり回答しているというようなことはもちろんなく、ただ質問に真摯しんしに向き合っているにすぎません。