※本稿は、夏嶋隆『10秒でほぐす カラダが硬い人でもラクに柔らかくなる。きつくない、痛くない「シン柔軟法」』(アスコム)の一部を再編集したものです。
ストレッチは逆に大きな負担となる恐れがある
みなさんは体の硬さを自覚したとき、まず何をして改善を試みようとしますか?
多くの方がストレッチを選択すると思います。両手を上に挙げて横に倒してみたり、片足を引いて伸ばしてみたり、腰を回してみたり、と思い思いに体をほぐしはじめると思います。
しかし、その考えはいますぐに捨ててください。あなたの体はすでに、ストレッチができる体ではなくなっているからです。
なぜなら「体が硬い」という自覚のある方が行うと、ストレッチは逆に大きな負担となって、さらに体を痛めてしまう原因になるので注意が必要です。
実際に「肩にコリを感じて、肩を回したら肩を痛めた」とか、「待ち時間に上半身を回旋するストレッチをしたらギックリ腰になった」など、冗談とも本気ともつかないきっかけで、私の治療院を訪ねてくる患者さんがいらっしゃいます。
では、なにをすれば体を痛めずに、柔軟性を取り戻せるのでしょうか。
“姿勢”を見直せばいい
私は「動作解析」という、人の体の使い方を観察・記録して、運動学や解剖学、物理学などの科学の面から「人体構造に合った正しい動作」を検証し、それをスポーツなどの分野に還元していく研究をしています。
そのような研究を30年もしていると、なにが原因で体が硬くなっているのか、立ち方や歩き方を診るだけでわかるようになります。
実際、私の治療院に来られた方にまずかける言葉は「今日はどうしましたか?」ではなく、「ちょっと歩いてみてください」「その場で立ち上がってみてください」です。
そのときに、私がほぼ毎回思うのは、「なぜこの人は体が傾いているんだろうか」「どうして立っているだけなのに筋肉を緊張させているのだろうか」ということです。
そしてそう診たてた方は総じて体が硬い。決定的な理由はラクだと感じて長年とっていた姿勢に「大きな間違い」があったのです。