もし、子どもに業務を説明するとしたら

最後に1つ、ぜひやってもらいたいワークがあります。「業務説明」というテーマで「紙1枚」を書いてみてほしいのです。

ただし条件があって、その「紙1枚」を、「家族に説明するつもり」でまとめてみてほしいのです。両親でも良いですし、もし小学生くらいのお子さんがいらっしゃる場合は、「その子に伝えるとしたら?」という前提でキーワード出しをやってみてください。

青ペンで書く言葉が、きっと変わってくるはずです。赤ペンでピックアップする時も、より相手目線で考えられるようになってくると思います。良い体感機会になりますので、さっそくやってみてください。

スマートフォンを手に考える親子
写真=iStock.com/miya227
※写真はイメージです

先ほど、『未知との遭遇』という映画について書きました。スティーブン・スピルバーグ監督による世界的ヒットとなったSF作品なのですが……何せ1977年の作品です。私自身にとっても生まれる前の映画ですし、令和の今となっては「そんな映画知りません!」という読者さんも、きっとたくさんいると思います。

そういった人にとっては、「未知との遭遇は既知との照合で」と言われても、「変わった言い回しだな」くらいには思ってもらえるかもしれませんが、私がこめた意図の通りには受け取ってもらえない可能性も高くなるわけです。

説明上手な人は「引き出し力」と「把握力」を活かす

何が言いたいのかというと、「既知との照合」をうまく使いこなすためには、次の力が必要になってきます。

自分の「引き出し力」と、相手の「把握力」。

「引き出し力」とは、様々な相手の既知にアクセスできるよう、自分自身の興味関心の幅を可能な限り拡げ、具体例やたとえ話の引き出しを生涯かけて増やし続けていこうという意味です。

とはいえ、これは生真面目にやるようなことではありません。好奇心の赴くままに、その都度楽しんでハマっていけばOKです。強いて言うなら、そうしたものに触れる際、「必要に応じて、伝える前の思考整理の際に活用しよう」というつもりで楽しんでください。

あるいは、「NOT自己完結」を標語に考える。すなわち、いついかなる時も、「後で人に聞かれたら伝えられる前提で」という話です。もし可能であればで構いませんので、これから引き出しを増やしていく際、このことも併せて楽しんでいってください。

一方、相手の「把握力」については、また「紙1枚」書いてみましょう。図表2のようなイメージです。