※本稿は、武田所長『スモールビジネスの教科書【実践編】』(実業之日本社)の一部を再編集したものです。
受託で学びながら時間の切り売りからの脱却を目指す
ビジネスに不慣れな人が大きく投資を行い、それを回収していくという事業を成立させる難易度は極めて高い。
最初のステップとしてはこのような事業は避け、投資不要で参入出来る事業から始めるべきであろう。
投資不要ということは基本的な構造として受託型の事業になることを意味する。
本書では黒字の安定経営状態にした経験を持つスモビジオーナーの具体例を紹介してきたが、典型的なものはA氏が取り組んでいたコンサルティング業である。
広告業務でも受託してSNSのチャンネルや広告を運用するという事業がある。
これらのビジネスは属人性が高く、自分自身の状態に売上が大きく左右されるため、長期で続けるには不向きとも言えるが学習段階の参入としてはよい方法であろう。
ここで参入時のビジネスに適しているものをいくつか説明しよう。
法人からある事業の一部を切り出してもらい、それを受託して納品するというビジネスのことを指す。
典型的なものには開発、コンサルティング(技術、戦略、PMO、マーケティング、営業など)、広告運用代行などがあり、この事業から着手する場合、必要なのは自分自身に売り物になる経歴があるかという点と営業力である。
最初は何もサービスがない。
何を売り込むのかと言えば自分ないし自分を中心としたチームなど、いずれにせよ「人材」を売り込むことになる。
その中で最も分かりやすい訴求メッセージは自分の経歴なのだ。
売りになる経歴を持っている場合、この参入方法は容易である。
優れた人材というのは常に供給不足なのだ。
売りになる人材がいる場合、人材・コンサル紹介屋にコンタクトしてみよう。
売上をすぐに立てることが出来る。
勿論この事業は時間の切り売りのため、ここでとどまるのはフリーランスであってスモビジではない。
学びながら時間の切り売りからの脱却を目指すのである。
そして脱却の道もいくつかある。
受託以外のビジネスを追求してもよいし、受託を極めるという道もある。
この受託というのはスタートアップの文脈だと下に見られることが多いが、高いスケーラビリティを狙わない受託は、スモビジにおいて儲かりやすいビジネスの1つとして評価出来る。
受託開発やコンサルを極め、徐々に組織化を進めれば、将来的にも十分に儲かるビジネスなのである。
この事業に関しては先行者となるベイカレント・コンサルティングやアクセンチュアなども多く存在している。
必ずしも受託からの脱却を目指すのではなく、徐々にスモビジオーナー自身が時間の切り売りからの脱却を目指すという意識がよいだろう。