スマホの登場で変革を余儀なくされた「着うた」事業
注意点として述べておくが、ビジネスモデルを変えようとする試みは基本的にするべきではない。
元アップルのエバンジェリストであり投資家・ビジネスアドバイザーとしても活躍する米国のガイ・カワサキ氏も述べているように、技術や販売においては新たな方法はあり得るが、ビジネスモデルというのは多くの人の試行錯誤の結果として現状があるため全く新しいものはほとんどない。
これに変更を加えようという取り組みは非常にリスクが高い試みなのである(参照:The Art of the Start 2.0 ガイ・カワサキ著)。
これはビジネスモデル以外に関しても言えることであるが、競合が提供しているサービスは偶然の結果ではない。
競合・先行者は多くの苦労を経て顧客が受け入れるものを発見し、その結果として現在がある。
これは基本的に正しい。
この先行者に対し挑戦出来る可能性があるのは、環境が大きく変わった場合である。
代表的な例にはスマートフォンがある。
携帯電話市場にスマートフォンが登場することで、市場の構造自体が変化した。このようなケースの場合、たとえ先行者であっても着うたなどを提供していた会社のビジネスモデルは変革を余儀なくされた。
現在ではEV化、エネルギーシフト、半導体サプライチェーンの構築などのトレンドが見られる。
こういった大変革に初心者が賭けていくのは推奨しないが、かなりビジネスに慣れてきて時代の大波に乗る挑戦をしたい人は取り組んでもよいだろう。
変化を起こす際には余裕を持て
本書で述べている「失敗時の対応」でも見るが、変化を起こすには時間と金を投資(売上が即時見込めない活動)する必要がある。
この変化というのは、原価率であったりビジネスモデル自体であったり様々だ。
当然大きな変化にはより大きな時間と金を必要とする。
他社が変化していない場合、それが何故かといえばそこには投資が必要だからだ。
短期的に見れば現状維持が最適だからそこに落ち着いているのである。
K氏は受託であるフリーランスコンサルから脱却し、投資が必要なメディアビジネスへ移行することが出来た。
これは貯蓄があり、それを投資に当てることが出来たからだ。
収益性が高いフリーランスコンサルティングを行える経歴であったため、2000万円の貯蓄を作ることが出来たのだ。
ただしこれはやや例外的であろう。
余裕がある状態を作るには貯蓄をする以外にも勤め人をしながら副業で立ち上げる、実家に戻り生活コストを極限まで下げた状態で立ち上げ段階に臨むなどの方法がある。
自分を追い込みすぎた状態だと即時現金がほしいという考えになってしまい、持続可能な事業に必要な投資フェーズをくぐり抜けることが難しくなるだろう。
M氏の場合はYouTube広告を主力とした会社を創業した。
しかしその直後にYouTubeショックと呼ばれる広告規制の強化が実施され、YouTube広告の出稿量が激減してしまったのだ。
このように意図しないケースのスタートになってしまうことがあるのは仕方がないが、事前調査を念入りに行い、出来る限り回避することが重要だ。
赤字段階が長く続くビジネスをするなら外部からの資金調達を必要とし、融資や株式で調達することになる。
株式での調達を前提とするスタートアップであれば、このような経営をしてもよいのだが、基本的に自己資本運用でプレッシャーの少ない状態での経営を目指すスモビジの場合は、積極的に取りたい選択肢ではないだろう。
■最初から儲かることをやりなさい!
■変化を起こそうとするなら相応の時間と金を準備しなさい!