戦前農林省の減反案を潰したのは陸軍省だった。減反は安全保障と相容れない。我々の食料安全保障を脅かしているのは、輸入リスクではなく農政リスクである。

【図表1】各国の米生産量推移(1961年=100)

農林水産省が主張する「食料安全保障」のウソ

国民は、農林水産省は農業を振興して食料を供給してくれるはずだと思っているだろうが、それは大きな誤解だ。農政は、食料増産という目的を達成した1960年代以降一貫してJA農協を中心とする農業村の利益を確保するために運営されてきた。最近では、以前は自粛していた農林水産省からJA農協への天下りが増えるなど、これがますますひどくなっている。一部の奉仕者であって全体の奉仕者ではない農林水産省は、憲法第15条に違反している。

食料危機が起きると農産物価格は高騰する。最も利益を得るのは農家を含めた農業界である。その農業界が、食料危機に対処するための食料安全保障や食料自給率向上を消費者団体よりも熱心かつ声高に主張してきた。