バングラデシュ南部には、世界最大の難民キャンプがある。身を寄せているのは、隣国ミャンマーから逃れてきたイスラム教徒のロヒンギャだ。「世界でもっとも迫害された少数民族」が虐げられている実態を、国境なき医師団・日本事務局長の村田慎二郎さんがリポートする――。

※本稿は、村田慎二郎『「国境なき医師団」の僕が世界一過酷な場所で見つけた命の次に大事なこと』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

焼け落ちたロヒンギャ難民キャンプ
写真=AFP/時事通信フォト
2021年3月23日、バングラデシュ南東部コックスバザールで、焼け落ちたミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャ難民キャンプ(バングラデシュ)

「ふるさとに帰りたい」のだと思っていたが…

「もし明日、ミャンマーとバングラデシュとの国境が開いて自分のふるさとに帰れるとしたら、ミャンマーに帰りたいですか?」