20歳そこそこでの結婚出産がコンプレックスだった

男性は、誰かと一緒にいたい。女性は、私をわかってくれる人に出会いたい。だから婚活をする。

やや強引に男性と女性で線引きをしてしまったが、婚活の場で多くの男性と会い、そして同じ状況の女性と話してきてそういう傾向があると感じている。

私自身は、婚活を始める前に好きな人がいた。

20代は孤独感にさいなまれながら育児をし、子どもがある程度大きくなった30代からは仕事に没頭した。30代後半で離婚してからは、就寝時間以外はすべて仕事をしているというくらい自分を追い込んだ。そうしないと仕事のブランクを取り返せなかったからだ。そして子どもの手が離れ、仕事である程度の実績を作れた40代、自分が心から望むことをしたいと思うようになった。皆が当たり前のようにやってきたことをしたい。

20歳そこそこで結婚した私は、好きな人とお茶したりデートしたりといった経験が、実はほとんどなかった。子どもを否定するようでこれまで口にできなかったが、周囲より早くに結婚出産をしたことがずっとコンプレックスだったのだ。そんな時、仕事関係で好きな人ができた。

仕事関係の人との恋愛が難しくなっている

けれどもその恋愛はうまくいかず、家で泣いていることが多くなった私を見て、成人した娘がこう言ったのだ。

「お母さん、もっといろんな人を見たほうがいいよ。婚活してみなよ。お母さんに誰か“いい人”がいたほうが私も安心だから」

離婚してから母一人、子一人で仲良く暮らしてきた。今だって女二人の生活が楽しい。けれども娘なりに「母親を一人にさせられない。だから家を出られない」という思いがあったことにこの時気づいた。そう考えたら申し訳ない気持ちになった。またいい年をして好きな人に一途になり、相手の負担になるのもいやだった。

さらに、現代では何かあればすぐにハラスメントと指摘され、私が20代だった頃より仕事関係の人との恋愛が難しくなっていると思う。最近出版業界でハラスメントの勉強会が開かれ、そこでは「打ち合わせをしながら呑んだり食べたりする慣習は変えていったほうがいい。今はリモートで会議や打ち合わせをすることが普通」「出版界もプライベートと仕事の区別をもう少しつけていくべき」という声があがった。