日本のアナウンサーは報道とバラエティを“両立”

日本の民放テレビ局は全然違う。募集要項を見てみると、総合職の仕事内容は報道のほかドラマやバラエティなど多岐にわたる。アナウンサーは同時並行で報道番組もバラエティ番組も担当する。報道とエンタメがごっちゃになっているわけだ。

「報道もエンタメも同じ番組制作」という発想なのだろう。報道とエンタメとでは求められるスキルがまったく異なるというのに……。

そんなことからジャニーズタレントを報道番組に起用することに何の違和感もないのだろう。本来ならば禁じ手であるはずなのに。

巨大権力の人間を報道キャスターにしてはいけない

禁じ手である理由は単純。独立性が維持できなくなるからだ。独立性がなければ報道倫理もないに等しい。

トヨタ自動車の社員や財務省の官僚が報道キャスターを務めていたらどうなるだろうか。明らかに問題だ。トヨタも財務省も巨大権力なのだから。ジャニーズ事務所も巨大権力の一つであり、ジャニーズタレントが報道キャスターに抜擢されれば独立性が揺らぐ。

補足しておくと、取材対象と雇用関係にないからといって独立性を保てるわけではない。報道キャスターが権力側とゴルフをしたり麻雀をしたりする仲であれば、やはり独立性を失って報道倫理上の問題が出てくる。

数年前には週刊文春のスクープで、検察ナンバーツーと新聞記者が賭けマージャンをしていたということが暴露され、「報道機関が取材対象と癒着している」と大問題になった。

ジャニーズタレントが報道キャスターを務めているという現状は癒着どころの話ではない。報道キャスターが取材対象と一体化しているのだから。