親の介入で余計にこじれてしまう
とはいえ、親が何でも正しく判断してくれるということはありません。
親は、自分の子どもかわいさに「相手が悪い」と言いがちです。親の介入の度合いが大きければ大きいほど、条件の提示や妥協といった段階を踏むことができず、「息子は悪くないから何も払わない」「相手が謝るべき」といった主張に終始して話が進まなくなります。これは、夫が不倫している、いわゆる有責配偶者である場合も同じです。
妻の側も、夫の両親が離婚の話に乗り出してくるのを拒まない傾向にあります。特に、夫の家が裕福だと、「親が介入すれば息子を説得してくれそう」「お金を払ってもらって早期に離婚できそうだ」と思うためです。
しかし先ほど書いた通り、実際はその反対です。
親が息子の味方をするため、たとえ息子が不倫やモラハラをしていたとしても、肩を持って話がこじれたり長引いたりすることがほとんどです。
味方をするつもりが不利に働くことも
また、A子さんの夫のように、婚姻費用を1円も払おうとしない、それも夫の親が「あんな嫁には払わなくていい」と止めていたというケースがありました。婚姻費用を払わないと、裁判所からの心証はとても悪くなるため、この親は息子の味方をしていたつもりが、息子にとって不利なアドバイスをしてしまっていたことになります。
離婚する時には、金銭面や生活環境の面で、実家の親の理解や協力が必要になることがあります。しかし、離婚はあくまで夫婦自身の問題です。
中年といえる年齢になっている人であれば、何でも親を頼るのではなく、自分で選んだ専門家にアドバイスを求めて、自分で意思決定をするようにしましょう。
親の側も、何でも決めてあげたい気持ちをぐっとこらえて、子ども自身に任せ、求められた時に協力をするという姿勢でいることが重要です。