EV市場で日本はどんどん差をつけられている

一方、1~6月期の世界の自動車販売総数の順位は、トップがトヨタの約541万台、2位はフォルクスワーゲンの437万台だった。BYDはホンダ、スズキに続き世界第10位の自動車メーカーに成長した。ジーリーは13位、テスラは15位にランクインした。また、インドのタタ自動車、韓国の現代自動車もEVの販売を強化してシェアを獲得した。

中国EVメーカーの台頭は、これまでの自動車のコンセプトを変えるほどのインパクトがありそうだ。部品点数が少ないため、高度な製造技術を必要としない。それを追い風に、BYDなどは、政府の販売支援などを背景に価格競争力を高めた。

また、世界的な脱炭素を背景に、欧州などはEVの普及策を強化した。それを追い風に中国のEVメーカーはノルウェーなどへの輸出を増やし、欧州市場を開拓する足掛かりにした。また、テスラは、トップ2つの自動車販売市場である中国と米国の両方で生産と販売を強化している。HVを含むエンジン車など自動車市場全体でみると、わが国の自動車メーカーは存在感を保っている。ただ、EVに関して、BYDやテスラなどとの差は歴然だ。

国家ぐるみでEV攻勢をかける中国

中国のEVメーカーの価格競争力を支える要素として、共産党政権の産業政策の影響は大きい。それに加え、党の支援の下、車載用バッテリー、その部材などの川上から川下まで、中国国内のEV関連産業を育成する方針は強力だ。

2015年5月、習政権は半導体や自動車、宇宙、バイオ医薬品などの産業強化策である“中国製造2025”を発表した。その中で共産党政権はEVを筆頭に新エネ車の普及加速を表明した。中国はEV、PHV、燃料電池車(FCV)を新エネルギー車(NEV)と定め、製造・販売を振興した。

2022年の新車販売台数(2686万台)のうち25%程度が新エネ車、EVは536万台の販売を達成した。急速なEVの生産、販売、輸出の増加を支えるのが、さまざまな支援策である。共産党政権は工場用地の低価格での供与、工場など建屋の建設や工作機械の導入などの設備投資を対象とする補助金政策などを強化した。

2016~2022年の間、総額570億ドル(1ドル=150円換算で約8.6兆円)の国家補助が行われたとの試算もある。それを上回る補助が行われたとの見方もある。EV生産体制を強化して雇用基盤の安定を目指し、追加的な減税を実施する地方政府も多い。