再生ファンドが買い手となり、経営陣を一新
さて誰がジャニーズ事務所を1200億円で買えるのでしょうか? それだけの資金となると同業者による買収は無理です。考えられる一番わかりやすい買い手は再生ファンドです。
ジャニーズ事務所株を買って、古い経営陣の大半には出て行ってもらって、中身をクリーンにして新しい買い手を探します。東山氏は謝罪専任の代表取締役専務あたりに降格する形で残留するかもしれませんが、役員陣の大半は金融関係者と弁護士で占められるでしょう。
ここからは金勘定の話になります。実はジャニーズ事務所の場合、メディアやスポンサーからの契約がなくなっても、年間520億円といわれるファンクラブ会費で企業経営を続けることは可能です。タレントがつぎつぎと移籍するとこの状態は崩壊しますが、移籍しないようにマネジすれば金銭面では2年ぐらいの籠城は大丈夫でしょう。
弁護士が算出する被害者への補償額は類似犯罪からひとり300万円程度。この先、被害者が1000人くらいまで増える可能性がありますが、それでも一回きりの30億円を用意すれば補償は終わります。古いメンバーにこの仕事を頼み、2年以内に補償を終わらせることが重要です。
企業20社くらいの出資を受けて新事務所でよみがえる
補償にめどがついた段階では、当然、新しく入ってきた経営者による社内の再発防止の仕組みづくりも完了していますから、いよいよ再生プラン発動です。具体的には主要メディアや大手スポンサー企業20社ぐらいから100億円ぐらいずつ出資させて新会社の株主になってもらいます。それらの会社からメディアや広告に詳しい社員に出向してもらい、新事務所の活動再開を本格的にスタートさせます。
ファンドはここで退出します。企業20社から100億円ずつ出資ということは、1200億円で買った会社が2000億円で売れることになりますから、800億円の大儲けです。
そして新事務所は不死鳥のようによみがえります。NHKと民放各社、年間数百億円の広告費を使うスポンサーが15社ほど株主になっていたとしたら、禊が終わったと主張することで所属タレントをつぎつぎと表舞台に復活させることは造作もありません。タレントには罪はないのです。
でも合計で2000億円出資した株主のメリットは何でしょうか? これは資本コストを考えると答えは簡単です。株主は出資した金額に対するリターンを求めます。資本コストを教科書通りに、たとえば12.5%で想定すれば、毎年新事務所は新しい株主に250億円ほどの配当を出すことが求められます。新事務所のタレントたちは活躍することで毎年莫大な利益を稼いで株主の期待に報いることになるわけです。