ある時期までは、体育座りは忌避されていたのではないか

【白井】ただ、私の時代の中等教育が今日よりもずいぶんよかったかというと、そうとは思えません。それこそ体育座りもさせられていた。内田さんの時代もそうじゃないですか。

内田樹、白井聡『新しい戦前 この国の“いま”を読み解く』(朝日新書)
内田樹、白井聡『新しい戦前 この国の“いま”を読み解く』(朝日新書)

【内田】体育座り、僕は覚えがないです。僕たちの時代の教師たちはおおかたが戦中派でした。男の先生たちはほとんど戦争に行って、敗けて、ひどい目にあって復員してきた人たちです。だから、この世代の先生たちは基本的に国家を信じていないというところがありました。目の前で大日本帝国が瓦解するのを見たんですからね。昨日までの軍国主義教育が一夜明けたら民主主義教育になった。だから、「国家というものは信じられないものだ」ということは、どんなに権威主義的な教師でも、経験知として内面化していた。

虚無的で、いかなる権威も認めないという不敵な教師もいました。おそらく戦中に「人間というのは信じられないことをするものだ」という口にすることのできないような経験をしてきたんでしょう。そういう絶望的に虚無的な教師たちもかなりいましたから、戦後のある時期までの中等教育では、体育座りのような軍国主義的な管理は忌避されていたんじゃないですか。

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