TOPIC-1 「年代本」の急激な流行
現在、書店の「自己啓発」や「仕事術」といったコーナーに足を運ぶと、「20代でやるべきこと」「30代で伸びる人」「40代にやってはいけないこと」というようなタイトルの書籍が多く並んでいるのをみることができます。2011年のベストセラー・ランキングをみても、千田琢哉『死ぬまで仕事に困らないために20代で出逢っておきたい100の言葉』(かんき出版、2011)、川北義則『「20代」でやっておきたいこと』(三笠書房、2010)といった書籍が名前を連ねていました。
各年代に行うべきことが書かれているこうした書籍を、以下では「年代本」と呼ぶことにしたいと思いますが、この「年代本」は特に近年の流行なのでしょうか。そこで「年代本」の発行点数を調べてみました。ジャンル(件名)別の検索ができる『国立国会図書館サーチ』を用いて、件名「人生訓」内で「20代」「30代」「40代」という言葉がタイトルに含まれる書籍数を集計した結果が図1です。
※「国立国会図書館サーチ」調べ。件名「人生訓」、検索キーワード「20代or二〇代or二十代」。検索日:2012年9月3日。1989年以前の累計は20代論13冊、30代論7冊、40代論9冊と数が少ないため図からは割愛。
図1では1990年以降についての集計結果を掲載していますが、発行点数の総計は20代が145件、30代が65件、40代が60件となっています(50代は27件と少なかったので、20代から40代までを掲載しています)。「人生訓」という件名への収録基準は不分明ですが、「年代本」のブームがいつにあるのか、集計結果からその「あたり」をつけることは十分可能だと考えます。
図1からまず分かるのは、1990年代中頃を小さなピークとして、「年代本」の発行は細々と続いてきたということです。しかし何よりも目を引くのは、2011年に急激なブームが起こり、2012年もその余波がまだ続いているということです。こうした傾向は「紀伊國屋書店BookWeb」や「オンライン書店Honya Club.com」など、他のデータベースを調べた場合も同様でした。