車両が27年以上前のものであることから、がたつきによる不安も存在する。一度、75mph(時速約120キロ)で走行した際には、さすがに不安を覚えたという。以後は速度を控えるようにし、愛車に「メイ・ポップス号(いまにもはじけそう号)」とのニックネームを付けて愛用している。
アメリカの人々にとって、車両の仕様に関しても注意が必要だ。デイリー・メール紙は、日本の軽トラックは基本的に右ハンドルであるほか、古いものにはエアバッグが装備されていない場合もあると注意を促している。
車格は小さいのに、積載能力は十分
それでも日本の軽トラックを選択する人々が絶えない。アート・カルチャー関連のウェブサイト「マイ・モダン・メット」は、5000ドルで手に入る日本の軽トラックが「アメリカを席巻している」と報じている。
安価なだけでなく、ちょうどよいサイズ感も受けているようだ。同サイトは「通常のトラックよりもはるかに小さく、コンパクトカーよりもはるかに大きな積載能力を持つ軽トラックは、アメリカ人にとって必要な車種の隙間を埋める存在だ」と分析している。
さきに経年劣化の問題を挙げたが、さほど問題視しない向きもある。日本車はもともと信頼性が高いため、多少年季が入っていたとしても、信頼してハンドルを握るドライバーは多いようだ。
同記事によれば、気取らないスタイルだけでなく、高い信頼性でも海外の人々の心をつかんでいるという。アメリカで日本の軽トラックはディーラーから入手できず、購入手段は中古車の輸入にほぼ限られるが、それでもほとんどは状態が良いとのことだ。
長期的なメンテナンスをむしろ楽観視する声もある。『エコノミスト』誌は、最新車種にある電子装備が少ないため、修理が容易であるという点が強みだと指摘している。
日本の農村から、アメリカの農村へ
同誌は、衝突安全性に限界があるため「軽トラックは明らかにアメリカのワイルドなハイウェイ向けではない」と指摘しつつも、「その小さなサイズと信頼性、そしてのんびりとした雰囲気で海外の人々の心をつかんでいる」との評価を贈っている。
日本でも軽トラックは、都市部の工務店から地方の農家までに愛用されている。アメリカの郊外の一部でも、絶妙にちょうどよいサイズ感が受け、わざわざ輸入してまで乗るほどの人気を博しているようだ。