血管の名医として知られる医師・池谷敏郎さんが『完全版 最速で内臓脂肪を落とし、血管年齢が20歳若返る生き方』を上梓した。コロナ禍のあいだに人々の肥満や動脈硬化が進み、健康度の低下を危惧する池谷さんは「何歳からでも血管を蘇らせることは可能。食事も運動も、無理をしない、我慢しないのがポイントで、とにかく継続してほしい」という――。(第4回/全4回)

※本稿は、池谷敏郎『完全版 最速で内臓脂肪を落とし、血管年齢が20歳若返る生き方』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

本来つくはずのない臓器に脂肪がつく

人間の「体脂肪」には皮下脂肪、内臓脂肪、異所性いしょせい脂肪の3種類があります。皮下脂肪、内臓脂肪はイメージできるとして、「異所性脂肪」はあまり耳馴染みがないかもしれません。これがどういう脂肪かご存じでしょうか。

これは、内臓脂肪や皮下脂肪として収まりきらずに行き場をなくした脂肪が、本来つくはずのない心臓や肝臓などの臓器や骨格筋などの筋肉に蓄積されてしまったものです。

異所性脂肪がまとわりついた臓器や筋肉では、さまざまなトラブルが起こります。

壊れた赤いハートを持つ小太りの人
写真=iStock.com/mrPliskin
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「脂肪肝」は心筋梗塞の発症率が2倍

肝臓に蓄積された異所性脂肪が「脂肪肝」です。脂肪肝というと、いまだに「お酒の飲みすぎでなる」という印象が強いのですが、最近はアルコールが原因ではない脂肪肝(NAFLD:非アルコール性脂肪性肝疾患)が増えて問題になっています。

脂肪肝(NAFLD)が悪化して肝臓に慢性の炎症を引き起こすことを「NASH(非アルコール性脂肪肝炎)」といいます。

NAFLDの人は、動脈硬化や心筋梗塞などの発症率がそうでない人に比べて2倍以上高くなるというデータがあるほか、肝硬変、肝臓がんに移行するリスクが、アルコール性の脂肪肝以上に高いとも指摘されています。

また、異所性脂肪が肝臓や骨格筋に蓄積すると、インスリンの効きを悪くして2型糖尿病のリスクを高めるともいわれています。

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