事情通たちはNHKの報道番組では物足りない
中高年といえば、もっともテレビを愛する年齢層だが、「テレビ離れ」はやはりみられる。
彼らの好きなのは、NHKのニュース、報道番組、政治解説の番組だった、最近は「BSフジLIVE プライムニュース」やTBSの「報道1930」をTVerやNetflixやYouTubeで見る人が増えている。NHKの定時ニュースはSNSやネットニュースより時間的に遅れているため、既視感が強く、ラインナップにも重なりが多く、時間帯が違っても、同じ内容の繰り返しになっている。これではタイムパフォーマンス(時間対効果)が悪いので、ネットにあがっているニュースを見た方がいい。
報道番組や政治解説も、キャラがたつ専門家を呼ばず、自局の解説委員(博士号を持っていないような)に話させるなど、あたりさわりのないものになっている。中高年は、結構学んでいて事情に詳しいので、これでは不満なのだ。
このため、かつてNHKの報道番組や政治解説のファンだった人ほど、テーマ深く掘り下げ、主張のはっきりしている前述の動画サイトのコンテンツを見ることになる。だから、NHKがこういったコンテンツをネットにあげても、一度離れた彼らはなかなか戻ってこないと思われる。NHKは中高年にも人気がなくなっているのだ。
受信料で生き永らえているNHKの存在意義とは
以上述べてきたように、NHKと総務省は、ネットに移ればNHKのコンテンツを見てもらえると思っているが、総務省や民間機関のデータを見れば、そうはならないことは明白だ。
放送でも見ない、ネットでも見ないとなれば、NHKの存在意義を根本から問い直さざるを得ない。拙著『NHK受信料の研究』でも書いたように、もともと受信料によってNHKを存続させていくというのは、無理なことだった。それを通信官僚とNHKがごり押しし、当時の総理大臣吉田茂がそれを政治利用したことによって、矛盾をはらんだまま現在まで残ってきてしまった。
時代に合わなくなった放送法、NHK、受信料制度は、根本的に変えなければならない。NHKは放送をやめ、他の民放とともにTVerなどに入り、広告料とサブスク料を収入で細々とやっていける規模に縮小されなければならない。