50~60代でも「テレビ離れ」が進んでいる
次に②の点を明らかにしていこう。ミレニアル世代とZ世代は、もともとテレビを見ない世代だが、もとはテレビを見ていた世代もテレビ離れを起こしている。
総務省の通信白書のデータでは、50~60代というもっともテレビを見る年齢層が、視聴時間を減らしている。これに対して、インターネットの使用時間は伸び続けている。
これは当然である。つまり、ミレニアル世代とZ世代より上の世代もスマホを使い始めていて、しかも使用時間が長くなっているということだ。懸念されるのは、スマホ依存症が中年から老年まで広がり始めていることだ。
下の図表3からわかるように、スマホ依存が強くなると、動画視聴時間が長くなり、テレビ視聴時間が短くなる。
50代のテレビ視聴時間は6年間で30分以上減
スマホ依存でなくとも、スマホの普及はテレビ視聴時間を確実に短くしている。総務省通信白書のデータによれば、スマホの世帯保有率が60%を超えたのは2013年で、2年後には70%を超え、現在では90%以上になっている。今や老若男女問わず、大多数がスマホを持っているといっていい。
スマホがテレビ視聴に影響を与え始めたのは2015年ころからと考え、それを総務省のデータで現在と比較してみた。結果は図表4の通り、若い世代では6年間のうちに30分以上テレビの平均視聴時間が短くなっている。60代はほとんど変わっていないが、50代でも30分以上短くなっている。
50~60代のテレビ世代は、ずっとテレビを見てきた世代だが、さすがにスマホの小さい画面でテレビのコンテンツは見ないし、パソコンの画面でも見ようとはしない。したがって、NHKのコンテンツも見なくなる。見るなら、彼らはテレビで見るだろうが、スマホとパソコンの使用時間が増えているために、テレビを見る時間が減っているのだ。テレビの視聴時間が減れば、最も見られていないNHKの番組の視聴時間が最も影響を受けるのはいうまでもない。