エンジニア同士のネットワークから生まれたLinux

コンピュータの世界でも、UNIXコンピュータが市場に出たとき(1980年代後半から1990年代前半)は、ヒューレッド・パッカード、IBM、DEC、サン・マイクロシステムズとそれぞれが独自のOSを作っていた。

ところが、どこのメーカーにも属さないLinuxがUNIXのOSを席巻する。

Linuxの開発に参加していたのは、IBMのエンジニアかもしれないし、ヒューレット・パッカードのエンジニアかもしれない。

世界中のエンジニアが参加し、不具合が出ると、すぐにパッチを当てて修正するので、どんどん改善していく。自社のOSは改善が遅れたりするので、お客様に文句を言われるわけだが、Linuxは誰かがすぐに修正する。

これはエンジニア同士が1990年代初頭、ネットでつながり出したので、できたことである。

つまり、コンピュータもネットにつながって、人間同士がつながると、世界中から優秀な人材が集まって、開発できるということだ。

曲作りも、Linux型に変わりつつあるが、他の分野でも同様のことが起きる可能性がある。

原作と作画の分業が当たり前になっている縦スクロール漫画

元来、日本の漫画はストーリー作成から作画まで一人で行うのが主流だったが、徐々にこれも変わってきている。

2000年以降、インターネット上で、スクロールして読むウェブトゥーンが登場した。当初は一時的なものと思われたが、スマートフォンが普及した現在、スクロールして読む縦スクロール漫画も普及してきている。

それに伴い、原作者と漫画家が別に存在するのが主流になりつつある。日本でも人気のピッコマやLINEマンガでは、多くの作品で原作と作画は別人だ。

確かに、ストーリーやキャラクターを構想する作家としての能力と、絵を描く能力はよく考えると異なる種類のものだ。

今までは、漫画家はストーリーも考え、絵も描くというシンガーソングライターばりにすべてを行っていたわけだが、分業制になるとまったく違うプレイヤーも出現する。

絵は描けるが、ストーリーはできない。またその逆の人もいるわけで、そうなると新たな新人が出現するチャンスが出てくる。

こうなってくると、今まで日本のお家芸だった漫画も、うかうかしていられない。