転職後3カ月間は「定着期」
――「エア転職」とは面白いですね。実際に転職することを決めた場合、次に「人間関係の構築が心配」という方も多いのではと思います。当たり前ですが、会社が変われば人も変わるので、これまでの人間関係はリセットされます。新しい職場でやっていけるのか不安な人もいると思いますが、転職したら、まず何をしたらよいでしょうか?
【徳谷】拙著『キャリアづくりの教科書』の6章で、新たな組織にジョインした後の3カ月間を「定着期」と呼んでいます。その時にまず大事になるのは組織のカルチャーやメンバーを理解することです。
この期間中は、自分ができることを過剰にアピールするよりは、その会社の組織は何を大事にしていて、どんな人がいて、どんなモチベーションで働いているのかを、恥を恐れずに理解すること、具体的にはどんどん聞いてみましょう。最初が一番聞きやすいはずです。
可能であれば、組織理解を深めつつ、少しずつ自己開示できると関係を築きやすくなります。自分がどんな人間で、なぜこの組織に入ってきたのかを伝えるのも有効です。また、選考過程の人事の方や、同一組織内の方、中途同期入社など誰か一人でも相談相手がいると気持ちはだいぶ楽になると思います。
いずれにしても、会社の人たちに自分を知ってもらうためには、まずは自分が知ろうとすることがスタートだと思います。
現場との接触を拒否する会社は要注意
――実際に入社してから「会社のカルチャーが合わない」という悩みをよく聞きます。とても重要ですが、入社前にはわからないことも多いと思います。転職前に何をすべきだったのでしょうか。
【徳谷】この現象は、中途の方よりも新卒の方に多いですよね。選考過程では、人事担当ばかり見ていて、実際に現場に行ってみたら想定と全然違っていた、という事態は多いものです。というのも、面接担当を「候補者受けするような方」にしている会社も実際に存在します。ですので、選考時の終盤には現場の人や、特に自身が一緒に働く可能性がある方とも話す機会を意図的につくりに行った方がいいですね。選考の最終フェーズで、現場との接点をリクエストしても、明確に拒否するような会社の場合、裏表がある可能性もあるので、より慎重に判断する必要があると思います。