日本のプライム年会費は海外よりはるかに安い

2.その場合、どこまで値上げが続くのか?

日本のAmazonプライムについては実は隠された問題があります。それは海外よりもはるかに安い年会費で運営されているということです。

アメリカでは2022年にAmazonプライムの年会費は139ドルに引き上げられました。実はこのとき日本以外の多くの国で年会費の値上げが行われ、その幅は20%から43%の幅でした。

今回日本の年会費が4900円から5900円になるということは約20%の値上げですから、昨年の各国の値上げ幅と比較すると少ない方に分類されます。

そして問題は年会費の絶対水準です。8月12日、為替レートが一時1ドル=145円台に突入しましたが、144円で計算するとアメリカの年会費139ドルはちょうど2万円に相当します。欧州の各国でもだいたい1万5000円前後がプライム年会費の相場です。日本は先進国の中では飛びぬけて年会費水準が低い国です。

積み重ねて置かれたコインの上に日本円のマーク、背景は為替チャート
写真=iStock.com/MicroStockHub
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5900円は値上げの始まりのレベル

さらに為替レートの変遷を考えるとおかしな逆転現象が起きています。かつて円が強く、1ドル=80円だった時代の年会費3900円は、米ドル換算で49ドルになりました。ところが1ドル=144円で計算すると5900円に値上げをしても41ドルにしかなりません。

アメリカのアマゾンの幹部から見れば、

「49ドルだったのが41ドルになるのではむしろ値下げじゃないか。アメリカ並とまではいわないが、少なくとも欧州並の100ドル近辺までは行ってもいいんじゃないか?」

という議論が始まったとしても不思議はありません。

そうなるとAmazonプライムは年会費1万4900円ぐらいまでありえるという議論になるのですが、そこまで行くと日本人のアマゾン離れが起きるので、経営陣も途中で踏みとどまることにはなるでしょう。ただ前提として5900円というのはまだ値上げの始まりの金額レベルでしかないのだと覚悟しておく必要はありそうです。