二日酔いの症状と“ちゃんぽん飲み”は無関係

言い伝えによると、「ワインより、まず、ビールを飲むと、二日酔いになりにくい」。この格言の一般的な説明は、最初にワインを飲み、次にビールを飲むと、ビールに含まれる二酸化炭素によってワインのアルコールが迅速に吸収され、酔いと二日酔いが深刻化する、と。

だが、この研究で明らかになったのは、そういうことではない。ワインだけ飲むとか、ビールだけ飲むとか、あるいはビールとワインを飲む順番を変えるとかは、二日酔いの頻度や症状とはまったく関係がなかった。

驚くことはない。重い二日酔いであることを示す最もわかりやすい指標は、飲んだ翌朝にどう感じるか、または、飲んだ後におう吐したかである。アルコールはビール、ワイン、日本酒、ウイスキー、焼酎など、どんな形式で摂取しようと、効率よく、迅速に体内に吸収されるから、ちゃんぽんで飲んだとか、ワインやビールだけ飲んだとかいうことで、二日酔いになりやすさに違いはない。

ぐい飲み
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私がこの論文を読んで思ったことは、おそらく読者も同じように感じておられるだろうが、この研究は優先順位の上位にランクされるものなのか、という疑問である。おそらく、「遊び心」での研究だろう。それより大事なことは、アルコール飲料を飲む際に、どれを飲むかという選択や順番に関係なく、飲んだら運転しないこと、飲酒をストップするタイミングを誤らないことである。

「酒は百薬の長」は科学的には間違っている

【神話】
少しの飲酒はまったく飲まないよりも健康にいい

「酒は百薬の長」といわれるように、昔から適度の飲酒が健康によいという考えがある。たとえば、カゼを引いたときに酒を温め、これに鶏卵を入れて飲む「卵酒」。「卵酒」の起源は不明だが、民間療法として江戸時代にはすでに利用されてきたようである。では、酒は健康にいいのか?

【科学的検証】
ウソである。

今でも、酒が健康によいという主張がテレビや新聞といった古いメディアだけでなく、インターネットといった新しいメディアでも喧伝されている。

巷では、赤ワインがスーパーフードと称する食品リストに掲載されているのを目にする。グレープの皮に含まれるレスベラトロールという物質が心臓の健康にいいと主張する。確かに、1杯の赤ワインが心臓の健康に効果的であるという考えを支持する多くの論文が発表されてきた。

それなら、心臓を守るために赤ワインを飲み始めようか? やめたほうがいい。もし、今、あなたが飲酒していないなら、よりよい健康を求めてわざわざ飲み始める必要はまったくない。