「ダメージコントロール」でパフォーマンスの低下を防ぐ

子育て戦場で、どのようにして「ママがうつになる」事態を避けていくか。

あなたの心の中の「クールな指揮官」には、「ダメージコントロール」という自衛隊式思考を、ぜひ身につけてもらいましょう。

「ダメージコントロール」とは、ダメージを受けたときに、被害を最小限にするためにどうするか、あらかじめ行動を考えておくというものです。

たとえば隊員たちが戦場におもむくとき、本人たちは当然、行く先が楽園だとは思っていません。

下園壮太(著)、ひえじまゆりこ(イラスト)『ワーママが無理ゲーすぎてメンタルがやばいのでカウンセラーの先生に聞いてみた。』(時事通信社)
下園壮太(著)、ひえじまゆりこ(イラスト)『ワーママが無理ゲーすぎてメンタルがやばいのでカウンセラーの先生に聞いてみた。』(時事通信社)

けれども、心のどこかで漠然と、

「これくらいは、まあ自分にもできるはず……」

という、うっすらとした期待感(楽観)を、だれしもが持っているものです。

ところが実際の戦場では、手持ちの弾薬がなくなったり、予想以上に寒い冬が来たり、さまざまな想定外のことが起きてくる。パフォーマンスが上がらなくなる事態に見舞われます。そういうときに、なまじ期待感を持ってしまっていたために、「もうダメだ!」と、何もかも投げ出してしまう人が出てくるんです。こうなると戦いには負けてしまいます。

そこで、パフォーマンスの低下を防ぐために、組織では「ダメージコントロール」という戦略を持つのです。

「プランA」「プランB」「プランX」を準備しておく

「ダメージコントロール」をイメージするにあたって、「階段」を思い浮かべてみてください。自衛隊では、よく「ラダー」と言います。

通常より状況が悪くなったら「プランA」。

さらに状況が悪化したら「プランB」。

危機的状況に陥ったら「プランX」。

このように階段状のイメージで「対策行動」を決めておきます。

こうしておくと、なんらかの要因で調子が落ちても、「1段ラダーが落ちた」と考え、次の行動プランにスムーズに移行できます。

パフォーマンスが少し落ちただけで、すっかり悲観してしまい、「もう何もかもおしまいだ!」などと、すべてを投げ出してしまうという事態を防げるんです。

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