父親に「お前の顔はガリガリだ」と強い口調で言われ…

サキさんは顔にとらわれていますが、客観的に見て特別な問題はありません。彼女を苦しませている原因を探ろうとしましたが、過去の話に触れるとサキさんは泣き崩れてモニターから消えてしまったり、母と喧嘩して直前に父の実家に帰ってしまったりと、なかなか対話できないもどかしい状況がつづきました。

そんななかでも、カウンセリングの過程で見せてくれた日記には、こんな内容が書かれていました。

「考えはじめるとどんどん自分がダメだと思い込む麻酔にかかってしまい、悩みにとりつかれる。その瞬間の感情に支配され、暴れて暴言を吐いてしまうけれど、もし感情がなくなったら、私はもっと孤独になるだろう」

「両親のことも理解しなきゃいけないとわかっている。友だちもほしい。小学校3年生頃のうまくやれた自分が懐かしい。あの頃の人との接し方を思い出したいのに、それができなくて悲しい」

本を抱えてたたずむ女子学生
写真=iStock.com/metamorworks
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「転校したい」という娘に、新しい恋人ができた母は…

サキさんは私に、「本当は通信制高校に転校したいんだ」と打ち明けてくれました。でも、とても親に言い出せる雰囲気ではないのだと。

彼女に必要なのは、「いつでもここにいていい」と感じられる安定した居場所でした。そこで、父の実家ではなく、母の実家で母親と暮らしながら通信制高校に入学し、新しい交友関係をつくっていくことを勧めましたが、今度は母親がそれを拒否。母親はすでに新しい恋人と同居していたために、嫌がったのです。典型的な機能不全家族と言っていいでしょう。

サキさんがアルバイトをはじめたので「本人の進学の気持ちの真剣さを確かめてから判断する」と母親から連絡があり、カウンセリングは中断したままになっています。