中国のアニメ産業は短期間で急成長を遂げ、日本のアニメ産業を脅かすと言われてきた。ジャーナリストの高口康太さんは「中国のアニメ産業に異変が起きている。配信サイトは赤字が続いており、似たようなテーマの作品が増えてきた。世界市場で成功するのは難しいだろう」という――。
クオリティーもビジネスも急成長
中国アニメに異変が起きている。クオリティーも市場規模も急上昇と日本での評価は高まっているが、実はその裏では大きな転機を迎えつつあるという。
この7月から放映が始まったのがアニメ「フェ~レンザイ -神さまの日常-」。2018年に中国の動画配信サイト「テンセント・ビデオ」で公開された作品だが、このたび日本語吹き替え版のテレビ放送が始まった。内田真礼、杉田智和といった人気声優に加え、ジャニーズから高橋優斗、中村嶺亜の2人が出演していることで、早くも話題となっている。
日本市場における中国アニメの成功例とされるのが「魔道祖師」。ボーイズラブ小説を原作としたアニメだが、高く評価されている。原作者の墨香銅臭、ラジオドラマの監修をした括号と、小説家・綿矢りさの鼎談が掲載された文芸誌『すばる』2023年6月号は売り切れが続出し同誌史上初めてとなる重版を行った。熱烈なファン層を獲得したことを象徴するエピソードだ。
また、映画『羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来』は2019年に日本のミニシアターで公開されると評判になり、翌年には日本語吹き替え版が全国ロードショーされた。2020年10月にはテレビアニメ版も放映されている。
目の肥えた日本人ファンも認める作品が中国から生まれているわけだ。