自殺するか、脱兵するのではないか
Iくんは普通ではないくらいの、思い詰めた表情をしていた。彼には親しい友達もおらず、不満が徐々に蓄積されているようだった。
もしかしたらIくんは、自殺するか、脱兵するのではないか。
チュ氏の頭を、そんな考えがよぎった。
どこの軍隊でもそうだが、実弾は厳しく管理されているので、簡単に入手することはできない。しかし別の方法で自殺することはできる。
しかしIくんは、チュ氏の想像をはるかに超えた悲劇を起こすことになる。
自殺するつもりではないかと内心不安に思った
それから2週間後、射撃訓練が実施されることになった。
その日、チュ氏らは8時30分にソウル北部の射撃場に移動した。
全部で90名の軍人が、6つの小隊にわかれ、トッキティギ(ウサギ跳び)などをしながら順番を待っていた。
Iくんはいつもよりさらに暗い、思い詰めた表情をしていた。チュ氏はIくんの表情を見て、やはり自殺するつもりではないかと、内心不安に思ったという。
しかし、チュ氏にはどうすることもできなかった。チュ氏はとなりの内務班であり、とやかく言う立場にはなかった。結局、チュ氏はIくんに声をかけなかった。