全世界が注目した子供4人の“奇跡の救出劇”

南米・コロンビアのアマゾンで墜落した小型機に搭乗し、行方不明になっていた子供4人が、40日ぶりに救助された。13歳の長女・レスリーさんの「サバイバル能力」が、きょうだいの命をつないだと、海外メディアでも大きく取り上げられている。

2023年6月10日、コロンビアの熱帯雨林で発見された子供4人と軍の兵士(コロンビア大統領府提供)
写真=AFP/Colombian Presidency/時事通信フォト
2023年6月10日、コロンビアの熱帯雨林で発見された子供4人と軍の兵士(コロンビア大統領府提供)

4きょうだいは、密林の中で生き延びることができたのだろうか。

墜落した単発プロペラ機・セスナ206は、5月1日の早朝、迫害を受ける先住民族のウィトト族の一部を避難させるため、人里離れたアララクアラの集落を離陸した。パイロット、先住民族の長、母親と4人のきょうだいが乗っていた。長女のほか、9歳、5歳、11カ月の乳児だ。

米CNNの報道によるとパイロットは離陸直後、管制官に対してエンジンの不調を報告。その後一度は持ち直したものの、1時間とたたないうちに再度トラブルが発生した。パイロットは「メーデー、メーデー、メーデー」「(着水用の)川を探す……右手に見える……」と無線で告げ、これを最後にレーダーから機影が消えている。

5月16日夜に発見された機体は、前方が大きくひしゃげた状態だった。コロンビア民間航空局が発表した予備的な事故調査報告書は、制御を失った事故機が高さ50メートルの密林のこずえに衝突したと分析している。この衝撃で先端のプロペラ部が離脱し、機体は垂直に近い角度で地面に衝突したとされる。機体の発見現場で、前方の席に座っていた大人3人全員が死亡していた。だが、子供たちの姿は見当たらない。

米CBSニュースは長女・レスリーさんの証言を基に、事故から数日間、母親が生存していたと報じている。母親は「行きなさい」と子供たちに告げ、生き残るために事故現場を去るよう促したという。この一言が子供たちの背中を押した。

40日ぶりに救助された子供たちと、手当てをする捜索部隊の人たち
写真=コロンビア軍ツイッターより
40日ぶりに救助された子供たちと、手当てをする捜索部隊の人たち
救助した子供たちを手当てする捜索隊員たち
写真=コロンビア軍ツイッターより
救助した子供たちを手当てする捜索隊員たち