ペレス教授は例として、「アマゾンの当該地域にはおよそ80種類のヘビがいますが、毒蛇は5種類だけです。彼ら(先住民たち)は、毒ヘビとそうでないヘビを見分けることができるのです」と説明している。

捜索部隊の足音におびえ、隠れていた…

リーダシップを発揮してきょうだいを率い、慎重かつ勇敢に4人全員を生存へと導いたレスリーさんだが、その慎重さがアダとなった場面もわずかながらあったようだ。

捜索に当たったコロンビア軍は、レスリーさんの祖母の声で「その場にとどまるように」とのメッセージを録音し、軍用機のスピーカーを通じて上空からむやみに動き回らぬよう呼びかけていた。だがヘリからの大音響にレスリーさんはおびえ、捜索班が付近を通るたび、見つからないようにと茂みに身を隠したという。

ジャングルの中に残された足跡。
写真=コロンビア軍ツイッターより
ジャングルの中に残された足跡。

ワシントン・ポスト紙によると彼女の父親が以前、コロンビアの反政府武装組織から脅迫を受けており、制服を着用した捜索メンバーにおびえた可能性があるという。豪公共放送のABCは、捜索隊が20~50mの範囲にまで接近しながら、何度も発見に失敗したとしている。視界の悪いうっそうとしたジャングルも発見を拒んだようだ。

不幸なすれ違いがありながらも、コロンビアの特殊部隊と先住民のボランティアからなる計200人規模の混成部隊が森を捜索するあいだじゅう、家族はレスリーさんを信じ希望を失わなかった。ワシントン・ポスト紙はこうも告げる。

「家族は信じていた。ジャングルを生き抜く強さと狡猾さを備えた人物がいるとするならば、それはレスリーだと」

捜索犬も動員して子供たちの捜索が行われた
写真=コロンビア軍ツイッターより
捜索犬も動員して子供たちの捜索が行われた

「ミラクル、ミラクル、ミラクル、ミラクル!」

墜落から40日目にあたる6月9日、捜索に当たっていたコロンビア軍の無線がけたたましく鳴った。「ミラクル、ミラクル、ミラクル、ミラクル!」。ガーディアン紙によると4回の繰り返しは、4人全員が生きて発見されたことを示すコードだったという。

米ウォール・ストリート・ジャーナル紙が動画で報じたところによると、発見したのは先住民による捜索チームだった。メンバーは森に残された足跡を追い、慎重に歩を進めていたようだ。

ふと人の気配を感じた隊員が顔を上げると、そこには1歳の妹を抱きかかえた、13歳少女・レスリーさんの姿があった。ほかの子供たちも一緒だ。「みんなおなかがすいています」と一言、レスリーさんは発したという。墜落現場から5kmほど離れた地点だった。

夜になるとヘリが駆けつけ、近くの町の病院に全員を搬送した。栄養失調でどこもかしこも虫刺されだらけの4人だったが、命に別状はない。現在はボゴタの病院に移送されて回復を待っており、ある1人はすでにサッカーをするための靴をねだるほど気力に満ちているという。