アルツハイマー病はとにかく予防がすべて

私たちが明らかにアルツハイマー病と診断されれば、精神科や脳神経内科などで治療を受けることになります。そして、薬が処方されます。しかし、その薬でアルツハイマー病を治すことはできません。エーザイが開発した「レカネマブ」という薬が注目されていますが、まだまだ効果のほどはわかっていません。

今のところ、アルツハイマー病を発症してから治す方法は1つもありません。進行を止める方法もありません。予防がすべてです。要するに、本来であれば、水面下でじわじわ進んでいる発症前の段階でこそ治療が必要なのに、今日の日本の医療保険制度ではそれができないのが現状なのです。

牧田善二『アルツハイマー病にならない習慣』(フォレスト出版)
牧田善二『糖尿病専門医だから知っている アルツハイマー病にならない習慣』(フォレスト出版)

このように、アルツハイマー病に関して、私たちを根本的に救ってくれる「医療」は存在しません。私たちは、自分で予防行動に出るしかないのです。

アメリカの場合、医療を受けるのにはとてもお金がかかるので、日本のように「調子が悪くなったら病院に行けば良い」というわけにはいきません。その分、「病気にならないように」という予防意識を強く持っています。しかし、普段から手厚い医療保険制度に守られてきた日本人は、それが苦手だと言って良いでしょう。

風邪でも腹痛でも躊躇ちゅうちょなく病院に掛かることができる日本人は恵まれていますが、こと、アルツハイマー病に関しては例外と考えましょう。アルツハイマー病は、ほかの病気と違います。「調子が悪くなったら病院に行けば良い」では遅いのです。

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