うなずく“深さと速度”が絶妙すぎる

そこには、テクニックや相手との関係性といったものもあるでしょう。

しかし、顧客や同僚から「聞き上手」と評価されるのは、それだけではありません。相手に好印象を与えるポイントは、「聞いている姿を相手に見せること」にあるのです。

情報のほとんどは目から入ってくるといわれています。5%セールスはその視覚を使って、「(相手の話を)しっかり聞いていますよ」と、相手に見せているのです。5%セールスは、深くうなずき、あいづちを打ち、相手が話しているのをさえぎって話すことは決してしないようにしているそうです。

拙著『AI分析でわかった トップ5%リーダーの習慣』でも、5%リーダーは一般の管理職の方に比べて、3.5~4センチ以上うなずきが深いという話を紹介しました。5%セールスは、うなずきが深いというより、ゆっくりなのだそうです。

うなずきがゆっくりだと、共感を示していることが伝わり、相手が安心するのです。特にまだ関係性が浅い相手との対話においてゆっくりうなずくことが多いそうです。

さらに、5%セールスはメモをとっている姿を見せます。

パソコンやスマホでメモをとることはできますが、文字入力の動作は相手に冷たく見えてしまうことがあります。また文字入力のキーボードを打つ音がうるさい印象を与える可能性もあります。

そこで5%セールスは、目の前でノートを広げてメモをとる様子を見せていました。パソコンでメモをとるときは、相手に許可をとっていました。許可をとらずにメモをとると、違う仕事(=内職)をしているのではないかと疑われてしまうからです。

「今すごく大切なことをおっしゃったので、メモをとらせてもらってよろしいですか?」

このような一言を発するだけで、相手に興味・関心を持っていることを理解させることができます。うなずきやメモをとるシーンが見えることで、心を傾けて「聞いている」ことが伝わり、相手も心を開いてくれるのです。

握手をする人
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